負け犬の美学

負け犬の美学

本作品は、2017年 第30回東京国際映画祭コンペティション
部門への出品作であった
(映画祭上映時タイトル「スパーリング・パートナー」)
そして劇場公開時の邦題は、「負け犬の美学」で、原題は
「スパーリング」であった

45歳のボクサーであるスティーブが主人公
戦歴は49試合で13勝33敗3分という成績
次戦の50試合目を節目として引退を決意する
これまでボクシングと料理人で家族を支えてきたが
暮らし向きは決して良くない

最愛の娘にピアノを習わせているが、上達するためには家でも
練習をすることを勧められるが、ピアノを買う余裕などはない
このあたりの話は日本でもよく聞くので、何処の国も変わらない
と思えてちょっと親近感をおぼえた

生活するお金が心配のスティーブであるが、ある日ジムに
欧州チャンピオンの練習相手を探している男が訪れる
スパーリングパートナーの収入は大変魅力的な金額である
スティーブは、ほかの人に決まりかけたところを
立候補して引き受けるのであった

この映画の秀逸な部分はたくさんあるのだが
娘がたった一度だけ見に来てくれた公開スパーリングで
思い切り父親が侮辱を受ける
それがきっかけで父親の引退試合も見に行かなかった
このあたりの設定が、ある意味たまらない
途中からひょっこり見に来て、父親が刺激されて勝つみたいな
ちんけな話にはなっていないのだ

そして、その最後の試合に勝ったのかさえ観ている側にはわからない
さらにかっこいいのは、帰宅後娘に勝敗を聞かれ勝ったというシーンだ
わたしは勝手に、彼は自分に勝ったのだと思った
 
チャンピオンの試合を一切描かないラストも凄いと思った
それだけ明確にスティーブに焦点を当てた作品であるのだ
だから残念だと思うのは、邦題のタイトルである
日の当たらない人に焦点を合わせた作品だからこそ
タイトルは、「スパーリング」であって欲しかった

最後に娘さんを演じた女の子のかわいらしさは特別なものであった

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください