少女は夜明けに夢をみる

少女は夜明けに夢をみる

2016年制作のイラン映画である
私は2019年の年末に観たのだが、上映時間76分と
どちらかと言えば短めの、このドキュメンタリー作品が私に
与えたインパクトは、小さなものではなかった

監督はイランを代表するドキュメンタリー作家である
メヘルダード・オスコウイである
その彼が7年もの月日かけて交渉し、ようやく施設内で撮影することが
許可され、完成させたドキュメンタリー映画なのだという
本作は第66回ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞を受賞している

終始、舞台となっている施設はイランの少女更生施設と
呼ばれる施設内である
もし日本でこれと似た施設を挙げるとしたら、女子少年院になると
思うが、イランと日本では社会や文化、女性の地位や宗教さえも
まるで違うので、実態は全く違う施設なのかもしれない

ここに収容された少女の数人にスポットを当て、映画は進行する
一見では、どこにでもいそうな少女たちに見えるが、彼女らが
犯した罪を語るシーンではその内容に驚かされると共に
犯罪の周辺を取り巻く切実な状況に頭が痛くなる思いがした
正に犯罪を犯さなくては生きていけない状況に思えた
そこには、日本とは全く異なる生と死の駆け引きが
存在しているように感じた

だからと言って、彼女らの犯した犯罪を肯定することなどは
当然できないのだが、第三者の目でこの負のサイクルを
捉えた時に、イランという国が根に持つ根底的な社会問題も
決して無関係だとは思えないと感じてしまう

社会から隔離されたこの施設は、皮肉にも少女たちにとって
犯罪を犯すことなく、安心して生活できる居心地のいい場所だ
同じような境遇を持ち、より理解してくれる仲間もいる

それだから出所が近づくと、彼女たちから徐々に笑顔は消えていく
外の世界への期待はほとんど持てないことと
ここに入る前と同じか、それより過酷な現実があるかもしれないという
不安の方が大きいのだろう
ここに、このドキュメンタリーの存在価値があるような気がした

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