読まれなかった小説

読まれなかった小説

2018年制作でトルコ・フランス・ドイツ・ブルガリア
マケドニア・ボスニア・スウェーデン・カタール8か国の合作映画
この作品、合作した国も多いのだが、上映時間も189分と長い
最近長い作品は体力的な問題を理由に、徐々に敬遠するように
なった私にとっては、観ようかどうか悩んだ作品である

3時間を超える作品とは一日の1/8以上の時間を費やすことになる
(こんな計算をする人は少ないかもしれないのだが…)
窮屈ではないが、自由にはできない劇場の椅子に座り続けることは
やはりなかなかツライと思う

監督はトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
知人の父子の物語に魅了され、自身の人生も反映させながら
完成させた作品だという

見始めてトルコの国旗とトロイの木馬が出てきたときに
初めて舞台がトルコであることがわかり、少しうれしくなった
2002年に一度行ったことがあるが、素敵な雰囲気を持った国で
私は好きな国になった

ストーリーは主人公シナンが大学を卒業し、故郷に帰るところから始まる
作家になることが夢であるシナンだが、周囲は冷ややかだ
処女小説を出版しようとするが、誰からも相手にされない
しかし若さの真っ只中にある彼は、勢いで突き進むだけで
冷静さも自己分析もできない

やがて、軽蔑しているギャンブル狂いの父親イドリスと
同じ職業である教員試験を気が進まぬままに受けるが
彼の正直な気持ちは、そのような平凡な人生に興味が持てないでいる
そんな彼だったが、何とか処女小説「野生の梨の木」は出版できた
結果、全く売れなかったこの本だが、出版した時母親や妹は喜んではくれたが
結局この小説を読んだのは、出版したことも告げてない父親只一人だった

若者が精神的に成長し、周りと自身をこれまでより深く知っていく過程で
過去あんなに対立し、嫌いだった父親を理解するようになっていった
それは他は誰も読まれなかったシナンの小説が、2人の心を繋いでいくようだった
いびつだけれど食べると案外、うまい野生の梨の木の実
シナン自身もそうであるが、父親イドリスも自身そんなものだと感じていたのだろう

きっとどの国でも共通するような普遍的な題材を189分という時間を
かけて丁寧に描いた作品
静かなシーンが多いので前半は所々眠ってしまったが、ラストには
静かな余韻が残った

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください