隠蔽捜査  今野敏

隠蔽捜査  今野敏

2014年にはテレビドラマ化もされた今野敏さんの警察小説
2005年に刊行されてからこれまでに長編8作とスピンオフ短編集2作が
出版されている息の長い人気シリーズである
今回読んだのは、この大ヒットシリーズの第一作目であり
吉川英治文学新人賞受賞作である

何故か隠蔽捜査6だけ読んでいる私であるが
そのシリーズは私のように途中から読んでも
問題なく楽しめるようになっている
その一冊がとても面白かったので、今回第一作目から読んでいこうと
思った次第である

何でも第一作から読まなくては気が済まない人も結構いると思うが
何冊も出版されてくると、途中から読み始める人も増え、私のように
第一作に戻って読むような人が少なくないような気がする
この読み方が出来るのは、シリーズ全体が面白いからこそだと思う

今回の話では、主人公の竜崎は警察庁長官官房総務課長の立場である
東大卒の竜崎は、警察官僚の出世街道を順調に進んでいた
慣例や建て前を嫌い、警察として常に最善を尽くそうとする姿勢は
家族にも変人扱いされるほどである
そして理論的に納得しなければ、上司命令でも黙って仕事を
するタイプの男ではない

唯一無二とも思えるこの男のキャラクターだからこそ
読後に読み手に与える共感や感動も大きいのだと思う
そしてこのような完全無欠のようなキャラクターであるのに
今の同僚である伊丹に、幼い頃いじめられた記憶などを今になっても
忘れないあたりが可愛かったり、人間臭かったりして
ちょっぴり親しみを感じられたりするところが隠し味である

第一作であるので、この作品にはそんな竜崎の身の周りも
ひと通り描かれていることも興味深いのだが、この作品は
本題のストーリー構成がとても上手い

本作で竜崎は二つの事件に関係する
それらの二つ事件は、公私で一つずつの事件だった
どちらの事件も、もみ消す道も残されていて
公で起こった連続殺人事件は、竜崎が真相を知った時には
実際にもみ消す方向に流れていた
私的な事件である息子の起こした犯罪行為も、自身の出世や
娘の結婚を考えると、どうしてよいか判断しずらかった
唯一相談した同僚の伊丹からは、もみ消すようにとアドバイスされた

この二つの事件を竜崎が自身の立場でどのように解決したかが
最大の読みどころであるが、読後の気分がとてもよくなるような
終わりだった

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