熊谷守一 いのちを見つめて

熊谷守一 いのちを見つめて

ここのところ私が一番興味を持っていた画家が
この人熊谷守一である
その理由はというと単純な話で、最近熊谷守一の日常生活を
題材にした映画を見て、彼の考え方や動植物や昆虫を見る姿勢に
心を打たれたからである
彼の作品をぜひぜひ見たかった私にとってこの熊谷守一展は
実に楽しみだった展示なのである

その映画とは2018年に公開された「モリのいる場所」という作品だ
山崎努が熊谷守一を演じ、その奥さんを樹木希林が演じた
ともに日本映画界を代表する俳優だが、何と二人はこの作品が
初共演だったという
この映画だが、熊谷邸に集まる人々の暖かさやご夫婦の動植物に対する
愛情が感じられる素晴らしい作品であった

展示を見ていくと、堂々と描かれた彼の作品に心を動かされる
極限までに単純化された花や鳥や昆虫を見ていると
観る側も嘘などつけなくなってしまうような潔さがある
そして作品から作者の正直さが伝わってくる
実に清々しく、そして気高さを感じる作品である

特に気になったのは、鮮やかな一色で描かれた背景の色である
板に油絵で描かれた作品が多いのだが、ここまで同じ色で
単一に描くことは挑戦だと思う
その背景に釘で引っ掻いたような、でかい筆者のサインが
書かれているのだが、それも実に味がある
書かれた文字は、まるでクマガイモリカズがその作品の横で
居眠りをしているかのような感じがした

アリの絵の足の形を見ていた時にマティスの絵に似た
感覚を感じた
簡単に書かれたようで実は素人には決して描けない
ラインのように思えたからだ

熊谷守一は東京芸大の前身である美校を首席で卒業している
普通に上手い絵が描けるからこそ方向転換していったのか
画家としてのオリジナリティーを求めたからか
本能のまま描いていった結果なのかはわからないが
彼の絵は正しく熊谷守一にしか描けない絵なのである

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