あの出来事
何も前知識を入れないで観た方が、面白い演劇もたくさんある
そのような作品は、観終わってから色々と調べることによって
面白さを再確認できたりする
本当はその後、再度観ると完璧だと思うが、実際そこまで
クリアすることは、なかなか難しいだろう
そんな前知識を持たずに観た作品のひとつに、この場所で今年観た
「骨と十字架」がある
古生物学者・地質学者でもあったピエール・テイヤール・ド・シャルダンを
描いた作品であったが、この人物の名前すら知らずに観たのだった
そして観終わった後に、この人物を調べてみたのだが
彼の足跡を読んでいく度に、演劇での各シーンが蘇っていった
これは、彼がわかりやすい人物だったからかもしれないが、初めての体験だった
だからというわけではないのだが、この作品についても
全く前知識を入れずに観劇してしまったのだった
本作はデイヴィッド・グレッグ作「The Events」の日本版である
その作品を瀬戸山美咲が演出、谷岡健彦が翻訳している
谷岡健彦さんはエジンバラ演劇祭で初演されたオリジナルを現地で
観劇しているそうである
この作品は意外にも2人芝居だ
登場人物は、銃乱射事件で生き残った女性とその犯人である少年である
生き残った女性クレアは、合唱団の指導者という設定で団員のすべてを
失ったという設定である
この死んでしまった合唱団は劇の中でコロスとして登場し
この物語のアクセントになっている
クレアを南果歩、犯人である少年を小久保寿人が演じている
私が見終わって感じたことは、この作品に関しては前知識がないと
理解することはかなりツライということだ
少なくともウトヤ島で起きた、極右青年による銃乱射事件について
事実だけでも押さえておかないと、かなり不思議な劇にしか見えないと思う
そんな私も観終わった時にたくさんの?マークが頭の中を回っていたが
事件を調べていくうちに考え方が変わっていった
この悲惨な事件は、どうしてもビジュアル的に表現したくなるところだが
この作品は、内面的な事件として捉えて表現していった作品になっている
クレアの思考が一旦は「赦す」、「理解する」といったところを通って
「わかり合えない」へとたどり着いていくのだが、気がおかしくなりかけていた
想定外なほどの不条理を、普通の人が簡単に理解など出来ないだろう
この事件を調べてその後、劇を思い返した時に私はそんなことを思った




