最後の社主

最後の社主

コロナ禍の中で発売された本である
発売された当時、話題作にはなっていたが、内容的なこともあり
メディア等で積極的に宣伝されることはなかった

巣ごもり生活は、本の販売に特需を与えてくれたようである
売り上げベストテンに入っているのは漫画が多いが、中には
「ペスト」など、なるほどと思える作品も売れた

電子書籍が幅をきかせている現在だが、この時期は紙の本も売れた
5月の売り上げの伸びは、2008年7月の調査開始以来最高の
伸び率だったという
当時、出口の見えない自宅待機の中で、時間の余裕ができたことが
紙で読書する人が増えたことに繋がったとすれば、全て紙の本を
読んでいる私にとってはうれしい

いよいよ、この本「最後の社主」だが、かなりおすすめの本である
その一番の理由は、一般人が通常では決して知ることのない内容が
書かれていることだ
朝日新聞社創業家の村山家
創業者・村山龍平の孫として生まれ、116万もの朝日新聞株を
保有した3代目(最後の)社主・村山美知子さんの伝記である

著者は樋田毅氏
朝日新聞社側から村山社主の元に秘書役として送り込まれた元事件記者
後に樋田氏は社主の信頼を得たことで、村山家の重要な行事にも
立ち会うことになる
当然、会社側と村山社主側の両方の情報に接しているので、ある意味最も
事の真相がわかるポジションにいた人である
その著者が、どちらかに大きく肩入れすることは最小限に抑えて事実を中心に
社主と新聞社に起きた事実を描いている
小さなニュアンスの違いは多少あるかもしれないが、書かれた内容で
核心である事実に関する部分については、間違いなく真実だろうと思える

全十二章からなる本であるが、最初は創業者の村山龍平さんの出身地や
村山美知子さんの幼少期についてから始まり
美知子社主が日本のクラッシック界にどれだけ尽力なさったかが伺える
私はフェスティバルホールにまつわる話が、とても興味深かった
章が進むにつれ、内容は朝日新聞社と社主に関する話になっていった

当然、樋田氏がこの本で最も言いたかったことは私にも伝わってきた
二度目になるが、著者は努めてどちらかに大きく肩入れすることを
抑えて書いている
しかし、後ろにいくにつれ、その抑えがきかなくなるほどの
著者の怒りを文章から感じることが出来る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください