本屋さんのダイアナ  柚木 麻子

本屋さんのダイアナ  柚木 麻子

柚木さんの作品は、これが2冊目である
初めて読んだ作品「私にふさわしいホテル」が面白かったので
何か別の作品を読みたくなり、この本を選んだ

芥川賞候補作はほとんど読まない私だが、直木賞候補作については
こまめにチェックしている
直木賞には、まだ残念ながら選ばれていないが、ここのところ
柚木さんは直木賞候補の常連になっている
この作品も第151回直木賞の候補に選ばれていた

そんなところが現在、高い質の作品をコンスタントに発表し続けている
作家の一人であることの証明になっていると思う
私の住む静岡県独自の賞で、静岡書店大賞という賞があるのだが
この作品は、その第3回静岡書店大賞の小説部門で大賞に輝いた作品である

さて、ストーリーだが
金髪の小学生、矢島大穴(ダイアナ)と優等生の神崎彩子の出会いから
二人が大人になるまでを描いている
しかし、いわゆる一般的な友情ものとはだいぶ趣が違った感じだった
キャバクラ勤めの母ティアラと二人暮らしで、安アパートに暮らす大穴
一方、彩子は裕福で優しい両親に大切に育てられた
一見、この二人に共通するところはなさそうだが、本が好きという共通点があった
小学三年の新学期に同じクラスになった二人は本の話をきっかけに
一気に仲良くなるのだった

とても面白かったところは、互いに相手の当たり前の行為が、もう一方からは
とても新鮮でかっこよく感じる様が、いくつも描かれている点である
確かにコーラやハンバーガーなどは、一度も食べたことのない人にとっては
凄い憧れだろうと思う

そんなユーモラスな対比がずっと続いていくのか?と思っていたら
境遇は相変わらず違うが、二人が自分の意思で強く変わっていったところが
この作品の最大の特徴だろう
その時、二人の原動力となったものが、本好きの二人が幼い頃読んでいた
大好きな「赤毛のアン」や架空の作品「秘密の森のダイアナ」だというところが
ストーリーを厚いものにしている

最後はどんな話になっていくのか?
私はある程度のところから、そのことが気になりながら読み進めてのだが
最後はごく普通に、二人の間にもう一度友情が芽生えるといった
前向きな終わり方だった
これからの二人を想像してしまうような、上手い終わり方だと思った
主人公の名前は、大穴をダイアナと読ませると決めた時には、もうストーリーの
骨格が出来上がっていたのでは?と思わせるほど名前とストーリーが
よく合っていると思った

この作品の読者レビューを読んでいたら、「泣ける話でないのに最初から
最後まで泣いて読んだ」と書いた人がいたが、私にもその気持ちが
よくわかるような不思議な魅力を持った作品だと思えた

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