劇場版 殺意の道程

劇場版 殺意の道程

2021年制作の日本映画である
本当に久しぶりに日本の作品を観たいと思った作品である
井浦新とともに主演を務めているバカリズムが脚本を手がけた作品である
バカリズムという人を実はあまりよく知らないのであるが
普通の芸能人とは立ち位置や雰囲気が少し違う感じがして
私は前々より気になる人であった

そしてこのバカリズムは、既に脚本家としてデビューしており
高い評価を得ているようである
どんな演技をするか?よりも、どんな脚本を書いたのか?
そこに私は大変興味があった

この作品、WOWOWのオリジナルドラマ「殺意の道程」(全7話) の
再編集劇場版であるという
有料チャンネルの連続ドラマが映画化されるということは
ドラマ自体が面白い作品であったことが伺える

ストーリーはシンプルで大変わかりやすい
そして題材もサスペンス作では手垢が付きまくった復讐ものである
しかしここにコメディーの要素が加わることで今まで感じたことのないような
全く新しいものに変わってしまうから不思議である
サスペンスコメディというジャンルは私はこれまでなじみの薄いものだったが
この作品を観て面白さに気づくことが出来た気がした

小さいけれど堅実な仕事をすることで評判だった町工場が倒産した
理由は取引先である大会社の社長・室岡(鶴見辰吾)の責任転嫁と仕事の
発注中止が原因であった
多額の負債を抱えた社長は、ある日の深夜に会社の屋上から飛び降り自殺した
その葬儀の席の隅で、息子の一馬(井浦新)は、いとこの満(バカリズム)とともに
室岡への復讐を決意するのだった

ここからの殺人の準備が面白い
なるべく人には秘密にしなくてはいけない計画を簡単に話してしまったり
殺人の道具をそろえるのもまるでDIYでも楽しむかのようだった
殺人という言葉の持つネガティブでシリアスなイメージを
全く逆のイメージの振る舞いをすることによって笑いに変えてしまう
このあたりが本当に上手いと思った

そして大きな目的とは別に、どうでもよい個々のちっぽけなことを
気にしてみたり、反省してみたりするところも人間らしくて
笑える要素であった

ラストの事件解決方法も二人に合った無血でのもので作品によく合っていた
バカリズムの才能を体験できる作品だと思った

ロアー

ロアー

1982年に日本で公開された作品らしい
パニック・コメディというジャンル分けがされていたが
主人公は全くパニックを起こした様子がないし、この作品をコメディーと
思えるほどの器を持っている人は少ないだろう
よって私はこのジャンル付けは違うように思うのだが…

この作品の存在は全く知らなかったのだが
アマゾンプライムを何気に眺めている時に見つけてしまった
ライオンの顔の傷とレビューの高さが決め手となり、鑑賞してみたのだが
私にはどんなホラー作品よりもずっと怖い作品に思えた

これまでいろいろな映画を鑑賞してきたが、ストーリーの
シンプルさでいえばこの作品が一番だと思う
舞台はアフリカ
150頭を超える猛獣たちと生活する研究者の父を訪ねてきた
母と子供たちが留守中の父の家で経験した猛獣とのふれあいを
描いた感動作である

最初から家の中で戯れるライオンとトラとひょうの数に圧倒された
何もこんなに用意しなくてもと思えるほど、足の踏み場もないくらい
うじゃうじゃ状態だった
本来トラにとってアフリカは生息域でないのに用意されたということは
猛獣のイメージを出すのに必要だったのだろう
なるほどライオンと並んでも体格で引けをとらないし、何より毛並みも
きれいで強そうである

ひょうは少し体格が小さいので、並ぶと迫力に欠けてしまうことがよくわかった
私はトラとライオンが戦い始めないかハラハラしていた
猛獣たちが本当の主役である作品なので
ストーリーは一応あるが、もはや台本不要なほど予測不可能な作品だ
次のシーンで誰かが猛獣に殺されるかもしれない危険は常にあるので
観る側の緊張感はかなりのものである
血圧の高い人や心臓の弱い人は観ない方がよいかもしれないレベルである

ライオンたちは挨拶のつもりで人間にじゃれているのかもしれないが
その鋭い牙と爪で挨拶されただけで血が噴き出てしまうのだ
実際に何でもないように血を吹いている主人公を見ているだけでも
かなりの恐怖を覚えた

動物愛護運動家でもあるノエル・マーシャルが監督、脚本、主演を兼任し
妻のティッピ・ヘドレン、娘のメラニー・グリフィス、息子のジョン・マーシャルと
ジェリー・マーシャルも実際の親子の役で出演しているが
家族でなくては出演してくれないような作品だ

夜に生きる

夜に生きる

2017年制作のアメリカ映画
ベン・アフレック監督作で監督のほか製作、脚本、主演も務めている
彼の監督作は、第85回アカデミー賞作品賞受賞作品である
あの「アルゴ」以来だという

原作はデニス・ルヘイン
ベン・アフレックの初監督作である「ゴーン・ベイビー・ゴーン」も
デニス・ルヘインであった
そしてクリントイーストウッド監督で映画化され、ショーン・ペンが
アカデミー賞主演男優賞を受賞したあの「ミスティック・リバー」も彼の原作である

私はまだ一度もこの作家の本を読んだことがないが
これだけ映画化されると否応なしに興味が湧いてくる
そうだ「シャッター・アイランド」もデニス・ルヘインの原作だった

舞台となるのは禁酒法時代のボストンである
ジョー(アフレック) は、警官幹部である父を持ち、厳格な家庭で育てられたが
大人になるにつれジョーは父に反発するようになり、ギャングになってしまう
仲間と強盗を繰り返すジョーたちだが、殺しは進んでやらないという
よくわからない美学を持っていた
殺しで父親の世話になりたくないと思っていたのかもしれない
しかし、ある大事な夜にジョーたちはミスを犯し、警官を殺してしまう
同時に仲間の一人も失ってしまった
ジョーは捉えられ3年以上も服役するのだった

禁酒法はかえってギャングたちの密売を活発にし、彼らの繁栄を導いてた
別にアル中でなくとも無いとなれば酒が欲しくなるものなのだ
私も間違いなくそう思う一人である
出所したジョーはボスであるマソの命令で、フロリダに向かい
ラム酒の密造に携わることになった

ジョーがこのラムでのし上がっていく様とギャングの戦いに勝って
引退し、幸せな生活を掴むところまでストーリーはギャング物では
比較的おとなしめに感じられたが、非常にスムーズで入り込めた
KKKの存在なども知識のない私にとって深くはわからないが
映画として重要だったのだろうと思うと興味深く感じられた

最後はハッピーエンドになるわけないだろうと予想できていたが
渋い作品だと思う