アイ・キャン・オンリー・イマジン   明日へつなぐ歌

アイ・キャン・オンリー・イマジン   明日へつなぐ歌

2018年制作のアメリカ映画である
日本での劇場公開が2020年11月だったので
コロナの影響で延期を余儀なくされた作品なのかもしれない
かなりの高レビューにつられて観た作品である

クリスチャンロックバンド「マーシーミー」も知らなければ
ビルボードにキリスト教音楽チャートがあることも初めて知った
そういった意味では、私にとって新しい発見の多い作品だった

今思えば「マーシーミー」というバンド名が如実に
それを物語っているような気がすることは確かだ
このマーシーミーが2001年に大ヒットさせた曲
アイ・キャン・オンリー・イマジンが、どのようにして誕生したのかを
バンドのボーカル、バート・ミラードの半生と共に描いた作品である

この大ヒット曲は、全米で250万枚以上のセールスを記録し
史上最も売れたコンテンポラリー・クリスチャン・ソングとして
今でも記録されているという
2001年に私は何をしていたか? もうすっかり忘れてしまったが
これらに関しては全く記憶にない

父と子の赦しをテーマにした作品である
バートは、親と同居していた幼年期から青年期までの多感な時期
父親アーサーの理不尽で、激しい暴力に苦しめられて生きてきた
唯一、味方をしてくれた優しい母親も、数日間の林間学校から帰ると
家の中に姿はなくなってしまった
それから父親との地獄の生活を耐えて生きるのだが、高校を卒業したら
この家を出て自活することだけを希望に生きた
 
やがて希望通り家を出たバード
仲間にも恵まれ、ミュージシャンとして順調にキャリアを積んでいくが
プロ契約がもらえるかもしれないという大事なところで、自信のあった
自分たちの音楽が、プロの目には評価されなかった
落ち込んだバートは、父のいる故郷へと戻ってきた
久しぶりに会う父アーサーは自身の過去を悔い、バートを認めようと
変わっていた  そしてアーサーは病気で、残りの余命は限られていた

さてバードはアーサーを赦すことができるか? というストーリーである
流石、宗教映画である
本当にきれいにまとまった映画であった

ヒトラーに盗られたうさぎ

ヒトラーに盗られたうさぎ

ドイツの絵本作家ジュディス・カーが自らの少女時代の実体験を
基につづった自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を
映像化した作品だという

ナチスが勢力を拡大する時期のドイツがそもそもの舞台なので、この作品も
いわゆる「ナチスもの」になるかもしれない
もう半世紀以上経った現在でも年に何本ものナチスもの映画が誕生しているし
私自身これまで本当にいくつものナチスもの映画を観てきた
この作品がナチスが統治しようという時代を描いた作品だということぐらいしか
前知識ないまま鑑賞したのだが、これまで観てきた「ナチスもの」とは
明らかに少し違っていた

その大きな理由は、この作品には実際の戦争のシーンが全くないどころか
軍服を着た兵士すら登場しないことである
只、人が死ぬような生々しいシーンが全くないこの作品であっても
ナチスの勢力が拡大していく状況が表現できてしまうという
別の恐ろしさを感じることができる

実際の争いのシーンが出てこないのには理由がある
それはこの本を書いた幼少期のジュディス・カー(映画の中の主人公アンナ)が
実際の争いを見なかったからだろう
だが、アンナの目線で捉えた世界がこの作品の最大の魅力なのである

舞台は1933年2月のベルリン
両親、兄と4人家族で裕福に暮らす9歳のアンナたちは家族で
スイスに向かった
選挙でのヒトラーの勝利が現実味を帯びてきたことで
これまで新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた父の
居場所がドイツに無くなることが予想されたからである
国を追われての亡命という名の逃亡であった

ドイツ近隣の国の状況は徐々に変化し、やがてアンナ一家はスイスを出てパリに向かう
そしてこの旅は最終的にパリからロンドンに移って終了した
ナチスから逃げるための旅なので不自由でつらい旅なのだが
アンナの目線から見ると、行く先々で新しい発見の連続のような
好奇心に富んだ旅に見えているところに子供の柔軟な適応能力を感じる
そしてそれがこの作品をそれ程重い作品にしてないところが良い

ヒトラーが選挙で勝たなければこの旅は無かったのだと思うが
アンナと兄にとっては語学力はもちろんのこと決断力と視野を広げるための
運命的な旅になったとせめて思いたい

アップグレード

アップグレード

2018年制作で、日本でも2018年に劇場公開されたらしい
アメリカ映画である
私は公開時、全く聞かなかったタイトルなので、きっと地方では
上映されなかった可能性が高いと思う
アマゾンプライムで観たのだが、そのきっかけとなったのは
大変レビュー評価の高い作品だということである

レビューの高さだけが決め手で、どのような内容の作品かなどは
全く調べずに観始めたのだが、始まってすぐに設定が
近未来であることを理解した
そして、これ見よがしに出てくるいかにも未来っぽい車や
オフィスの機器が、否が応でもSF作品だと気づかせてくれた
SFは普段から少し苦手とするジャンルだったので、そこから多少の
不安を感じながらの鑑賞となった

物語の骨となる部分はとてもシンプルだった
簡単に言ってしまえば、妻を殺された男の復讐劇である
(かなり簡単になってしまったが…)

愛する妻アシャと共に、平穏だが幸せな生活を送っていた主人公のグレイだったが
ある日突然、グレイ夫婦の乗った自動運転の車が謎の組織に襲われてしまう
そして愛する妻アシャを目の前で謎の組織に殺されてしまう
グレイ自身も、謎の組織の攻撃を受け全身麻痺となり、車いすでの
生活になってしまうのだった

失意の中にいたグレイだったのだが、ある日知り合いである
巨大企業の科学者からある提案をされた
その提案とは、まだ実験段階にある「ステム」と呼ばれる最新のAIチップを
グレイの体に埋めるといったものだった
手術の結果、グレイは再び体を動かすことができるようになった
体が元に戻ったグレイは、妻を殺害した組織に復讐を計画するのだった
大体こんな感じである

只、この体に埋め込まれた「ステム」が凄いもので
ステムは独立した脳と人格(?)を持ち、グレイと対話が出来たり
ステムに任せると、グレイの体を使って人間離れした力を発揮出来たりする
そこが斬新と言えば斬新で、都合よく出来ているといえばそれまでのところである

SFはこのあたりを理解して楽しむものだと思うが
私はこのあたりの理解センスに欠けるので、どうもしっくり観ることが出来ない
どうしてこんなことが出来るのにこれが出来ないのだろう?
などと思いながら観ることになるのである