オッド・トーマス  死神と奇妙な救世主

オッド・トーマス  死神と奇妙な救世主

2013年制作のアメリカ映画
「ハムナプトラ」、「G.I.ジョー」が有名なスティーブン・ソマーズ監督が
人気作家であるディーン・R・クーンツが書いた「オッド・トーマス」シリーズの
第1作「オッド・トーマスの霊感」を映画化した作品である
アマゾンプライムの評価が高いことと、上映時間が96分と短めなことで
鑑賞してみた

主人公はトーマス青年
見た目は気弱そうに見えるが、なかなか勇敢な男である
彼は死者が見えるという霊能力を持っていた
さらに死者だけでなく、近い将来起こる死の匂いを嗅ぎつける
悪霊ボダッハ(映画では透明なバケモノだった)も彼には見えた

その能力を使い、殺人事件を解決するとことからストーリーは始まる
刑事になれば未解決事件は減ると思うし、出世するだろうし、人の役に立ち
大変よいと思うのだが、彼はダイナーでコックのような仕事をしていた
私にはかなり不思議に思えた

トーマス青年には運命の恋人であるストーミーという女性がいた
ストーミーは、彼が特殊な霊能力を持っていることを知っている
好奇心旺盛なトーマスが、危ない目に合わないかをいつも心配している
しかしトーマスは謎を解明することに夢中で、危険をかえりみない
ある日、オッドは職場であるダイナーで、危険なキノコ頭の男を見つけた
彼には死に群がる悪霊ボダッハがこれまで見たこともないくらい大量に付いていた
彼を見たトーマスは、近い将来町に悲惨な事件が起きることを察知し
事件を未然に防ぐため立ち上がった

およそこんな感じの話だった
このタイプの映画に多いのだが、危険の定義が観ている側には曖昧でわからない
だからトーマス青年の驚きようで、事の重大さを判断するしかないところがある
展開が読めないという利点もあるから一概には言えないが
ストーリーが理解しにくくなる可能性も大いにある
この作品は短い時間の中で展開は目まぐるしく変わるが、ストーリーの大筋が
シンプルなので、細かなところはわからなくても何とか理解できる感じだ
それなりに楽しめる作品だ

パラレル・ヒストリーズ  現代アートの諸潮流

パラレル・ヒストリーズ  現代アートの諸潮流

2021年最初の美術鑑賞だ
私は予定がなければ、だいたい1月2日は美術館に
行くことにしている
正月は家にいてもあまりすることがないし、特に今年は
帰省で家に来る者もいない

そして、さすがにこの日は、空いている
その美術館でゆっくり鑑賞することが好きなのである
特に今年の展示は現代アートなので、本当に観ている人は少なかった

写真展もそうであるが、現代アートも鑑賞者は少ない
そして鑑賞者の年齢は、かなり若い世代が圧倒的に多い
私の感覚では、20代前半~10代が一番多い世代だと感じる
この世代がもっと大人になった時、どんな風になっているか?
私には、大変興味深い

タイトルの「パラレル・ヒストリーズ」の意味は、平行する歴史と
いうことだと思うが、なかなかいいネーミングだと思った
常に自己表現を求められる芸術の世界において
大きな意味では、アーティストはそれぞれがパラレルである
そのそれぞれのパラレルの道が現代アートの領域では、より鮮明に
表現されるようになったと思う

会場は6つのテーマに分けられて展示が行われていた
入ってすぐのテーマ「絵画という難問」の最初の展示は県出身である
石田徹也さんの「クラゲの夢」から始まった
私にはテーマ「空間とのかかわり」に展示されていた
川俣正さんの空間そのものが作品である「袋井駅前プロジェクト1988」や
テーマ「テクノロジー」に展示されていたLEDを使った宮島達夫さんの
「LIFE(complex sysytem)-no.1」などが、私の勝手な思い込み的には
特に現代アートっぽいと思いながら鑑賞した

これも現代アートの作品の特徴だが、どれも作品自体が大きい
十メートル以上ある美術館の壁面に、特に大きい作品では一枚だけの展示だったりする
その大きさからくる迫力だけでも、作品の持つエネルギーに私は圧倒される

数ある展示の中で私は、モーリス・ルイスのカラーフィールドペインティングに
見入ってしまった
うすく溶いたアクリル絵の具を傾けたキャンヴァスに流し込み、重力により流れた
絵の具が固まったという作品だったが、まさにクールな作品に思えた

 

昨夜のカレー、明日のパン 木皿 泉

昨夜のカレー、明日のパン   木皿 泉

読み終わってから知ったのだが、この作品は本と同じ
タイトルでテレビドラマ化されたことがある
主人公のテツコを仲 里依紗、同居するギフ(義父)を鹿賀丈史という
豪華キャストで2014年10月からBSプレミアムで
連続7回放送されたようである
作品を読んだ後だと、どんな映像作品だったのだろうか?
ちょっと興味を持った

著者の木皿 泉(きざら いずみ)さんについても、私はこれまで
全く知らなかったのだが、夫婦脚本家でこれまでにテレビドラマ「すいか」で
向田邦子賞を受賞しているような人気脚本家であった
この作品、その二人がはじめて綴った連作長編小説なのであるが
本屋大賞では第二位になり、山本周五郎賞にもノミネートされた
読んだ後の感想になるが、脚本も小説も読み手への伝わりやすさが
大切だと思わせるような作品だった

ちょっと意外な家族構成である
主人公のOLテツコは、夫であった一樹を病気で亡くしてからも
ギフ(義父)と一緒に住んでいる
19歳で結婚し、たった2年で一樹が亡くなった
それから5年が経過した設定で物語が進んでいく
計算するとテツコは26歳か27歳ということになる
その年齢である女性が、ギフと5年間二人暮らしすることは
実際にはかなり少ないだろうと思う

だが、私には全く違和感なく物語に入っていけた
ここがこの作品の一番すごいところかもしれない
これは、テツコとギフのキャラクターによるところもかなり大きいと思うが
物語に散りばめられた亡くなった一樹との思い出と
何より二人の中に、まだ一樹が存在しているところが
現実の二人暮らしとは違った感覚になるのかもしれない

テツコとギフを除く登場人物は少ない
一樹を知っている者もいるし、そうでない者もいるのだが
皆少し変わっていて面白く、各章のストーリーを地味に盛り上げていた
ちょっと悲しいとか、ちょっと切ないとか、ちょっと嬉しいとか
そんな気持ちになれることが、この作品の特徴だと思う
私には、どこか吉本ばななさんの作品に通じるものを感じた

特にテツコの恋人である岩井がすごくいいキャラクターだと思った
彼ならこの二人と十分生活出来ていけそうだ

終わりの解説を作家である重松清さんが書いているのだが
木皿さんへのインタビューあり、完成まで9年費やした経緯の説明ありで
大変面白いものになっていた