狂獣 欲望の海域

狂獣 欲望の海域

2017年製作の中国・香港合作映画
タイトルといい、ポスターの雰囲気といい、間違いなく
アクション映画だろうと勝手に思って鑑賞した

私の予想は当たっていて、アクション映画であった
アウトローな刑事が主人公のクライムアクションといった感じだろうか?
ストーリーは単純だが、展開は目まぐるしく変わるので
観る側を飽きさせることはない
そしてアクションシーンも多く、海中での戦いもあったりして
なかなか引き込まれる内容だった

只、映画館でお金を支払って観ることを考えれば、かなり物足りなさを感じる
私的には、全般的に及第点には足りてないようなちょっとお粗末な感じだ

主人公である刑事・西狗(サイガウ)が犯人を追っているところから映画は始まる
蛋民(たんみん)と呼ばれる水上生活者が住む場所や、活気ある香港の市場などを
通りながらの犯人と西狗の追いかけっこは、香港映画ではある意味お馴染みの
風景だが、何度見ても私には興味深い

只、海に生活する人たちについては、映画の中では風景程度の扱いだった
海に眠る金塊の闇取引の話であるのだから、いろいろと絡めようが
ありそうだと思うが、あっさりとしたものであった

それなのに西狗(サイガウ)が金髪にしたり、過去の捜査中に西狗が
殺してしまった男の娘が出てきて、西狗が罪滅ぼしで生活援助を
している設定(たぶん…)だったりしたが、本筋とはあまり関係ない設定には
残念ながら映画を面白くする効果的なものを感じられなかった

ラストの自身が生活援助していた娘と一緒に、産婦人科の待合に
座っているシーンには、かなり驚かされた
確かに、これまでのアクション映画に少ないと思われるラストだが
それでいいのか?と思ってしまった

そして決定的だが、金髪の西狗が追っていた相手の貴成のほうが西狗と比べ
全然強そうだし、私にはかっこよく見えてしまった
これは私のように感じる人にとっては、キャスティング的な失敗だと思える
西狗と同じくらいか、それよりちょっと弱そうで、ずる賢くて悪そうな
悪人役を選ばないといけなかっただろう

かなり悪く書いてしまったが、それなりには楽しめる作品である
(あまりフォローになっていなそうだが…)

 

ネイキッド・ソルジャー 亜州(アジア)大捜査線

ネイキッド・ソルジャー 亜州(アジア)大捜査線

2012年制作の香港映画である
香港映画のレジェンドであるサモ・ハンが主演の
ポリスアクションである
当然、カンフーシーンが満載で、サモ・ハンの衰えしらずの
切れの良いカンフーアクションが満載の作品である

インターポールの捜査官ロン(サモ・ハン・キンポー)は、大規模な
麻薬組織の摘発に成功する
そして、香港最大量の麻薬と金を押収し、その様子がテレビで放映されて
ヒーローのような扱いを受けた
しかし、やがて組織から報復攻撃を受け、自身と10歳の娘以外の家族は
すべて殺されてしまうのだった
しかもその唯一生き残った娘も、殺し屋集団の女ボスのマダム・ローズに
さらわれてしまった
ロンはこの事件の後、仕事への情熱も消えてしまった

時が経ち、サム刑事とその相棒のビートがロン捜査官のもとを訪れる
くすぶっていたロンであったが、この出会いが大きなきっかけとなる
サム刑事たちのチームの一員に加わることになったロン捜査官は
警察としての情熱が蘇ったのだった
麻薬王パワー(アンソニー・ウォン)と娘をさらった殺し屋集団の女ボス
マダム・ローズを叩き潰し、行方不明の娘を見つけ出す決意をするのだった

マダム・ローズにさらわれたロンの娘(メイシー)は、その後脳の記憶を消された
そしてフェニックスと名付けられ、マダム・ローズをママと呼ぶ美しい殺し屋に
なっていたのだった
サム刑事たちのチームによる警察の捜査が進んでいく中、ある時メイシーは
ロン捜査官を殺すようにマダム・ローズから命令された

およそこんな感じのストーリーだ
何だか似たような作品が多いような気がしてしまう感じの話ではあるが
そう思って書いていてもワクワクしてくるのだから面白いストーリーと
いうことになるのだろうと思う
ラストもハッピーエンドなので、楽しめる娯楽作といった要素の強い作品だ

隠蔽捜査  今野敏

隠蔽捜査  今野敏

2014年にはテレビドラマ化もされた今野敏さんの警察小説
2005年に刊行されてからこれまでに長編8作とスピンオフ短編集2作が
出版されている息の長い人気シリーズである
今回読んだのは、この大ヒットシリーズの第一作目であり
吉川英治文学新人賞受賞作である

何故か隠蔽捜査6だけ読んでいる私であるが
そのシリーズは私のように途中から読んでも
問題なく楽しめるようになっている
その一冊がとても面白かったので、今回第一作目から読んでいこうと
思った次第である

何でも第一作から読まなくては気が済まない人も結構いると思うが
何冊も出版されてくると、途中から読み始める人も増え、私のように
第一作に戻って読むような人が少なくないような気がする
この読み方が出来るのは、シリーズ全体が面白いからこそだと思う

今回の話では、主人公の竜崎は警察庁長官官房総務課長の立場である
東大卒の竜崎は、警察官僚の出世街道を順調に進んでいた
慣例や建て前を嫌い、警察として常に最善を尽くそうとする姿勢は
家族にも変人扱いされるほどである
そして理論的に納得しなければ、上司命令でも黙って仕事を
するタイプの男ではない

唯一無二とも思えるこの男のキャラクターだからこそ
読後に読み手に与える共感や感動も大きいのだと思う
そしてこのような完全無欠のようなキャラクターであるのに
今の同僚である伊丹に、幼い頃いじめられた記憶などを今になっても
忘れないあたりが可愛かったり、人間臭かったりして
ちょっぴり親しみを感じられたりするところが隠し味である

第一作であるので、この作品にはそんな竜崎の身の周りも
ひと通り描かれていることも興味深いのだが、この作品は
本題のストーリー構成がとても上手い

本作で竜崎は二つの事件に関係する
それらの二つ事件は、公私で一つずつの事件だった
どちらの事件も、もみ消す道も残されていて
公で起こった連続殺人事件は、竜崎が真相を知った時には
実際にもみ消す方向に流れていた
私的な事件である息子の起こした犯罪行為も、自身の出世や
娘の結婚を考えると、どうしてよいか判断しずらかった
唯一相談した同僚の伊丹からは、もみ消すようにとアドバイスされた

この二つの事件を竜崎が自身の立場でどのように解決したかが
最大の読みどころであるが、読後の気分がとてもよくなるような
終わりだった