ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ

ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ

2020年制作の日本映画である
まったく予習なしに鑑賞した私は、観始めてから日本の作品だと気づき
ちょっとがっかりしたのだった
(長いタイトルを最後まで読んでなかったことも失敗の一因だ…)
こうして久しぶりに日本のドキュメンタリー映画を観たのだが
相変わらずの構成と、ストーリー(見せ方)に、やっぱりがっかりだった
ドキュメンタリー映画が好きな私にとって、最近観た(海外の)作品が
特におもしろかっただけに、より強くそう思ってしまった

このように書くと、ムヒカ元大統領自身がつまらないように
聞こえそうであるが、映画作品として残念なだけであり
人物に関しては決してそんなことはない
ムヒカ元大統領を詳しく知っているわけではないが、この作品を観ていれば
これほどの人間はそうそういないと思える立派な普通の人である
このちょっと矛盾したような「立派な普通の人」という表現が、私の中で
一番しっくりくる言葉に思えた
そして「立派な普通の人」は、最も実践することが難しいようにも思えた

この作品の原点にもなっているが、私が初めてムヒカを知ったのは、あの有名な
2012年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議でのスピーチである
当時、第40代ウルグアイ大統領だったムヒカのスピーチは
会議の核心を射抜く鋭いメッセージを、優しい口調で話す素晴らしい内容だった
恐らくこの会議期間、たくさんの専門家や国家代表が同じ場所で話しをしたと思うが
ムヒカ大統領のスピーチが、最も印象深いものだったと思う
私がムヒカについて知っていたことは、たったこれだけだった
このスピーチが日本で絵本になっていたことも知らなかった

ストーリーは日本のテレビ番組が、ウルグアイを訪れるところから始まる
彼らは、ムヒカ大統領が顔を出す場所を調べ、アポなし取材に挑んだ
その場所とは、新設された学校であった
自ら報酬の8割を寄付し、国民が学ぶ場所を建設する費用に回している
大統領であるが、その寄付で新設された学校のセレモニーが行われる予定の
会場であった

アポなし取材にも、ムヒカは丁寧な対応をしてくれた
そして日本についても多くの知識を持っていた
もともとウェルカムな人柄のようで、偉い人に多い気難しさとは
無縁の人のようだった 正に「立派な普通の人」だった

私の勝手な予想だが、おそらくウルグアイを訪れ、アポなし取材を
試みた時点では、まだ映画を撮ろうとは思ってなかったのでは?と思えた
結局、この最初のシーンが、この作品の中で最もおもしろいシーンだった

映画内のムヒカ元大統領の言葉を聞いていると
考え、決断し、行動してきた人間の言葉はつくづく違うと
思い知らされたのだった

絵本画家 赤羽末吉展

絵本画家 赤羽末吉展

静岡市美術館開館10周年記念の展覧会
「スーホの白い馬」が代表作のひとつである絵本画家赤羽末吉の
画業全体がわかるような回顧展である
日本人初の国際アンデルセン賞画家賞を受賞したことでも有名である
ちょうど今年2020年は、赤羽末吉の生誕110年であり
没後30年にあたるメモリアルな年なのである

今回の展覧会を観て、初めて知った発見がいくつもあったのだが
一番驚いたことは、彼は50歳で絵本画家としてデビューしたことだった
子供の時は絵本は読むのだが、その作家や画家についての
経歴など調べることはまずない
そしてそのまま大人になってしまえば、そういった情報は
知らないままということは、当たり前といえば当たり前かもしれない
しかし、かなり驚く事実であった

亡くなる80歳まで人生の後半である約30年の画業人生だったのだが
どこか悟りを開いたように感じられる落ちついた絵を改めて観ると
納得させられたりもした

そしてデビュー作が「かさじぞう」であることも初めて知った
私はこの「かさじそう」を子供のころ読んで、受けた感動は
とてつもなく大きなものだった
それはおじさんになった今でも鮮明に覚えている
まさか「かさじぞう」の絵本を手掛けていたのが赤羽さんだったことを
この展覧会で初めて知ったのだった
しかも一番初めにこの作品が展示されていたので、いきなりとても驚いた

その他の画業の中では「日本の神話」シリーズの絵がとても素敵だった
壮大な空想の世界を見事なまでにオリジナリティーを持って
再現できていると思った

そして「おへそがえる・ごん」の話もとても興味深かった
この作品を見た最晩年の手塚治虫さんから
アニメーション化の話が持ち上がっていたようである
残念ながら手塚さんが他界したため、実現しなかったが
もしアニメ化されたらどうだったのだろう?などと想像した

会場には赤羽さんが撮った写真の展示もあったのだが、壁画制作の仕事で
訪れたという内蒙古の写真は、とても貴重なものだった
ポートレート写真が何点かあったが、被写体はリラックスした感じで
ほのぼのとした感じがした

今年観た映画を振り返る

今年観た映画を振り返る

私の中では、毎年年末になるとお約束となるこの話題だが
今年2020年は、いつもの年とだいぶ様子が違っている
映画を観た本数も、約60本と例年に比べちょっと少ないのだが
例年との大きな違いは、映画館で観た映画の本数が激減したことである
同時に、動画配信サービスを使って観た映画が激増したとも言えるだろう

大画面で映画を観たいとはあまり思わない私だが、やっぱり映画は
映画館で観たいと思うほうではある
それだけのために時間とお金を使って出掛けるからこそ
集中できるし、より感じるところも多いと考えているからである
それだから例年では、9割位は映画館で観ていると思う

今年は映画館も数か月休まなければいけなかった事情はあるが
それを差し引いたとしても全60本のうち約25本しか映画館で観てないのである
自分でも驚くほど少ないことにこの時期になって気づかされたのだ
例え開館していたとしても世の中の風潮はとても大きいし、少しでも
不安があれば、素直に楽しめないので足は向かなくなる
感染症の影響がこんなにも大きいことを初めて知った年になった

そういったことで動画配信サービスは抜きにしてこの約25本から
印象深い作品を挙げるが、比較的年初めに上映された作品「フォードVSフェラーリ」
「リチャード・ジュエル」、「1917 命をかけた伝令」などは
内容はしっかりと覚えてはいるが、本当に今年の作品だったのだろうか?と
思わせるほど昔の作品に思えた

そして特に好みだった作品は「ぶあいそうな手紙」、「PLAY 25年分のラストシーン」
他には、スケートボードと青春を描いた2作品「mid90’s」と
「行きどまりの世界に生まれて」であった

来年は例年と同じようにたくさんの作品を映画館で観たいと思うのだが
私も例外ではないが、動画配信サービスの便利さや気楽さも多くの人々に
よくわかってしまった年になった
アフターコロナの時代はまだ読めないけれど、これまでと同じように
映画館で映画を観ることが主流となって欲しいと切に願いたい
今年が例外だったのだと