荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅

荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅

岩手県に縁もゆかりもない私だが、前々よりこの本の存在は
知っていたし、前々よりぜひ読んでみたいと、とても興味があった
どうして岩手について書かれたこの本が読みたかったかというと
昔、高橋克彦さんの小説「緋い記憶」と「蒼い記憶」を読んだからだ

どちらの小説も岩手県が舞台となっていて、どこか懐かしくもあり
ちょっとミステリアスで怖い話だったと思うが、読後のあの
何とも言えないザラッとしたような気持ちが
すっかり癖になってしまったのである

そんなことで一度も行ったこともないのに岩手県に
とても興味があった私であるのだが
この本では高橋克彦さんが博物学者の荒俣宏氏と共に岩手県の
色々なスポットを訪れ、そこで歴史的な様々なものについて
専門家も交え二人が議論、検証、推理していくという内容になっている

まず驚かされることはお二人の知識量である
歴史はもちろんのこと民俗学から伝統芸能、風俗、美術に至るまで
広範囲にとてつもないほどの知識をお持ちだということがわかる
初めて見るものでもこの人たちの知識量で検証していけば
恐らく相当のことがわかってしまうと思う

読んでいくと岩手県は他のところとはちょっと違うことに気づかされる
高橋氏が言うのに岩手県は歴史的に4回戦い4回とも負けたという
その負け続けた結果として歴史が抹殺されてしまったのだという
その抹殺された歴史を推理しているのがこの本になるのだが
岩手県が中央(その時代の権力)から独立していた文化を
持っていたことは、その闘いの歴史からも理解できる

だからこそ残されたものから歴史や文化を推測することが
面白い土地なのだと思わせられる
蝦夷から中尊寺、遠野などの有名なところから
幽霊の絵や偽金(ニセガネ)やミイラまで実に様々な対象物について
正当性のありそうな検証や推理が述べられていた

読み終えた時に私は、いつかこの本を持参し岩手県を
旅してみたくなった
義経のたどった道を歩くだけでもすごくワクワクすると思うのだ

そして今回のコロナ禍の中でも最近まで感染者ゼロであった岩手県
こんなことは、普通に考えてもあまり起こることではないと思う
そんなこともあり、いつか岩手県を訪れたいと益々思うこの頃である

 

悪人伝

悪人伝

個人的に好きな俳優であるマ・ドンソク
彼は韓国系アメリカ人だが、これまでの主な活動拠点は韓国であった
しかし、最近では韓国映画にとどまらず、ハリウッド進出を果たした
個人的には、彼だったらきっとハリウッドでも成功すると思っているのだが
そうなったら、今までのように韓国のクライムサスペンス作品に
出演しなくなってしまうかもしれない
などと考えたりすると、今までのまま活動して欲しいと少し思ったりもする

そんなマ・ドンソクだけでなく、この「悪人伝」の作品自体も
シルヴェスター・スタローンの制作でハリウッド・リメイクが
決定しているのだという
韓国映画の実力は十分理解しているつもりだが、改めて韓国の国家戦略である
映画産業が狙い通りに成功していることが感じられる

個性的で存在感のあるマ・ドンソク
彼は、警察からヤクザまで様々な役を演じることができる
演じることが難しいと思えるのは、普通の人の役くらいだろう
これまでいろいろな役を見てきたが、個人的に彼が生きる役は
「新感染 ファイナル・エクスプレス」で演じた労働者や
「ファイティン!」のアームレスリング選手など、どこかに弱味を
持った人だと思っている
強面なのに、悲しい表情や笑顔など実に表情豊かで魅力的であるので
ヤクザのボスなど非情で笑わない役などより、弱い人を演じた時
色々な彼の表情を見ることができて、役が生きてくるのだ

しかし、私のそんな前置きなど関係なく、今回はヤクザのボスである
チャン・ドンスを演じている
自身も暗闇で襲われ、刺されて大けがをさせられた連続無差別殺人鬼を
はみ出し者のチョン刑事と共闘し、犯人を追い詰めてゆくというストーリーだ
ヤクザと警察が手を組んで犯人を捜すという発想が実に斬新である

細かいことを言えば、所々に???と思えるところはあるが
展開が早く、そして先が読みにくいので、そういったことは
どうでもよく思えてきたりする
脚本の発想も面白いが、テンポの良さも韓国映画の特長だと思う

今回のマ・ドンソクは、役柄的に色々な表情は無かったが
自慢の強面が活きる冷酷非情な役を存分に演じていた
そして刑務所の中まで殺人鬼を追っていくあのしぶとさも
顔の表情にマッチしていると思った

ライド・ライク・ア・ガール

ライド・ライク・ア・ガール

地方の映画館では上映が再開してはいるが、作品が揃わないようで
新作、旧作が混ざり合ったラインナップになっている映画館が
多くなっている
この新作はそんな映画館で観たのだが、上映予定の中には
新作か旧作か私にはわからない作品も少なくなかった
コロナ禍の映画館は、いつにもまして静かだった

この作品はオーストラリア競馬最高の栄誉とされるメルボルンカップで
女性騎手として初めての栄冠を手にしたミシェル・ペインの半生を
映画化した作品である
2019年制作で、当然といえば当然のオーストラリア映画である

ほとんど競馬をしない私でもメルボルンカップの名前ぐらいは知っていた
せっかくだからこのレースについて少し調べてみたのだが、今更ながら
凄いレースなのだということが分かった

南半球最大級の長距離レース
「国の活動を止めるレース」とも言われ、メルボルンがあるヴィクトリア州では
レース当日は祝日となるのだが、他の州でもオフィスや商店が休みに
なるところも多いのだという

レース当日の競馬場は社交の場となり、男性はスーツにネクタイ、女性はドレスと
帽子で着飾り、食事とお酒を飲みながらオシャレを楽しむ
更に競馬場に来場する人だけに留まらず、こうした文化は競馬に詳しくない人にまで
浸透しており、この日はオシャレをして外出するのが一般的になっている
まさにオーストラリア人にとって生活に深く根付いたビッグイベントとなっている

さてやっとここから肝心のストーリーだが、調教師の父をはじめ
兄弟のほとんどが騎手という競馬一家の大家族に10人兄弟の末娘として
この世に生を受けたミシェル・ペイン
生後半年の頃に、交通事故で母を亡くすという不幸に見舞われるが
父や多くの兄弟に囲まれ元気に成長していった
そしてやがてペインは、それが当然のことのように騎手になることを
強く思うようになっていった

騎手になったペインのキャリアは決して順調ではなかった
時代といえばそれまでだが、そこには女性差別も大きいかったし
命を落としかねないような大きな怪我もあった
しかし、それでもペインはやる気と努力と才能で徐々に頭角を現していったのだった
そのあたりが100分程度の短い映画の中に上手く収められていた

そしてレースのシーンには興奮した
特に最後のメルボルンカップのシーンは、かなり力が入った
そして結果は知っていてもペインが1着でゴールした時は、涙を流して
喜んでしまったのだった