むこうぶち

むこうぶち

今年のゴールデンウィークは、いつもの年と全く違った生活を
過ごしたという人がほとんどだろう
連休の期間私の住む地域は、本当に良い天気の日が多かった
外は無茶苦茶天気がいいのに、好き勝手に外出できない不自由さは
こんなにも苦痛なことなのだと初めて経験したように思う

そんな家生活の楽しみの代表格に動画配信サービスがある
日本でもすでにかなり普及しているので、今回このサービスに
助けられた人は、きっとかなり多いだろう
そしてこのサービスは手続きも手軽にできるので、この機会に
何かしらのサービスに入会したという人もまた多いと思う
ニュースでは、これらのサービスがここのところ業績絶好調だと
言っていたが、疑う余地はない

さて、私もこの機会にこのサービスでたくさんの映画を観たのだが
普段あまり観ないものを観ていた気がする
理屈抜きで楽しめるようなタイプの作品が多く、小難しい作品は
避けていたが、世間的にもこの期間に好まれた作品の傾向は似ているようであった
皆考えることは、似たようなものだということだろう

この「むこうぶち」は、少し前に大きな話題となっていた
黒川元検事長のコロナ自粛期間中のマージャン賭博報道が
記憶に新しいのだが、そんな賭博麻雀の勝負を描いた作品である
もちろん小難しくなく、楽しめる作品だ

竹書房「近代麻雀」に連載されている天獅子悦也のコミックを
袴田吉彦主演で実写ドラマ化した映像作品である
すでに20話近くシリーズがあるので、人気作なのだと思う
アマゾンプライムの星評価もおおむね高かった

「むこうぶち」とは、誰とも組まず、何処にも属さない一匹狼で
誰も何も必要無い、真のギャンブラーを指す言葉であるという
欲望渦巻く高レート賭博麻雀の勝負の世界が描かれているので
最後は麻雀による勝負のシーンとなるのだが、そこまでの過程が
各話違っていて目新しさがあり、飽きさせないものになっている
そして肝心の勝負のシーンも色々と工夫されていて、バリエーションに
富んでいる

最初は軽い気持ちで観始めた私だったが、1作が90分くらいの作品を
気が付くと4作も連続で観てしまっていた
麻雀自体を私は、もう20年以上してないのだが、いざ観始めると
テンパイ近くなった時の高揚感とアガッた時の達成感を思い出して楽しめた

主人公の人に鬼と書いて「傀(かい)」を演じている袴田吉彦が
とても役にハマっていた
物静かで、不気味な凄みを持った感じを上手く醸し出していた

潮流  伊集院静   

潮流   伊集院静   

今年1月にくも膜下出血で倒れられた伊集院静さん
3月には手術後の後遺症もなく、順調に次のステップであるリハビリに
励んでいるというコメントがご本人から発表された
今後は小説、エッセー等の連載も随時再開する予定だというから
ひとまず安心できるところまで回復された様子で何よりである
ご無理をせずに、ゆっくりと執筆活動を再開して欲しいと思う

この「潮流」は、数ある伊集院さんの作品の中でも特に有名な作品のひとつである
それは、伊集院さんと前の奥さんであった故夏目雅子さんの出会いから
付き合うまでを書いた自伝的作品だと思われているからである
ご本人が直接そのような話をされているかについては、私自身が本や映像などで
見聞きしたことはないので、本当に本当なのか?まではわからないのだが
主人公の境遇が、お2人の過去とあまりにも似ているので、そう感じるほうが
自然だし、仮にそうであるとすれば、勝手だが読み甲斐がでてくる気がする
出版は1993年のことである

大手化粧品会社のCMを作る高山健一と無名の新人唯子
彼女は幸運にも大手化粧品メーカーのキャンペーンに大抜擢され
撮影のために訪れた異国で初めて二人は顔を合わせた
今読むと、バブル期の雰囲気がプンプンとしてくる始まり方である

私はこの時代設定が、自身の子供の時期と重なって大変懐かしく思えた
当時の夏目さん出演CMもはっきりと記憶に残っているし
当時は、ザ・ベストテンなどで化粧品のキャンペーン曲が
よく売れていたことなども思い出した

この時代についてもう一つ感じたことは、皆一生懸命で熱かったことである
良いか悪いかは別にして命がけで働いていたように思える
過労死や働き方改革などで制限の掛かった働き方とは全然違っていたと思う
そして不倫に対する社会的感覚も今の時代とは全然違っていた
ほんの数十年前のことだが、確実に時代が動いていることが感じられた

高山は今の時代では生きられないかもしれないような男に思えた
生意気だが結果は残すし、冷めているようで実は人一倍熱い
会社員だが、最終的には全て自身でジャッジしている
こんな社員が今存在していたとしたら、かなりの問題社員だろう
作品内では、高山を悪く書こうとしている感じがするのだが
不思議なもので悪く書けば書くほど私には、かっこよく思えてくる気がした

タイトルの「潮流」という言葉には
   1.潮の流れ
   2.海の干満によっておこる海水の流れ
     一日に二回ずつ、その流れの方向が逆になる
   3.時勢の動き、時代の流れ  「時代の-に乗る」
                      などの意味がある

私は、この作品は3の意味が強いと思っていたのだが
ラストの逗子の海と思われるシーンの部分を読んだ時、2の意味が
強いかもしれないなどと思った

伊集院さんの作品らしく、登場人物のセリフにとても味があり
読後の何とも言えない感覚が、クセになる作品だ


 

きたれ、バウハウス

きたれ、バウハウス

最近このブログ内で、新作映画や観劇、演奏会などの感想や
美術展、写真展の感想を書くことは皆無であった
理由は簡単で、新型コロナの自粛の影響である
何もやってないから観てなく書くことができなかったのだ

自粛期間近くに開催されるはずだった前売りチケットを
3枚持っていたのだが、当然すべて予定は変わった
そして、そのチケットの扱い方も様々であった

2月終わりに上演される演劇は、予定通りに上演されたが
会場が東京だったため、自らの考えで行くことをやめた
東京で開催予定の写真展は中止となり、チケットは払い戻しとなった
最後も東京開催の美術展だが、会期が大幅に延期となった
そのため前売りチケットは、この先も使えることになった

今回の自粛の件で開催者や関係者は、本当に大変な思いをしている
行政側に強制力がないのなら、本当は観る側が参加を判断すべきだとも思える
そんなことを考えながら、ようやくこの美術展の話になるのだが
この展示も自粛期間があったことにより、展示期間は大幅に減って
5月12日より5月31日までのわずか半月程度であった

私が訪れたのは、最終日5月31日だった
予想通り混んでいたが、この日が最後なので諦めず鑑賞した
1919年に開校し、現代デザインにも大きな影響をを与えた
ドイツの造形学校「バウハウス」の開校100年を記念した美術展である

会場内は本当にたくさんの展示があり、じっくり見ていたら相当の
時間がかかりそうだった
家具、印刷、舞台美術などは有名だが、私は織物の展示に興味を持った
あまり知らなかったけれど、とても素敵な作品がたくさんあった

他に面白い展示だと思ったものは、先生の授業内容の展示である
特に印象的だったものは、クレーの授業であった
その実習課題が難しい…

Ⅰ:個性的なリズムと Ⅱ:構造的リズムとから成るコンポジションを、
ただしⅠとⅡの相互扶助によって有機的に加工処理すること

さてさて、どうしようか?
ハウハウスには1年間の予備課程があり、その基礎課程で合格しないと
正式入学が許されなかった
課題をちょっと見ただけで、入学するだけでもかなり大変だろうと思った