ブロークンシティ

ブロークンシティ

2013年制作のアメリカ映画
ポスターに写っているのは、二人のハリウッド有名俳優である
マーク・ウォールバーグとラッセル・クロウ
二人の顔と、作品のタイトルがあるだけでも、相当多くの人々に
注目されるだろう
そしてこの作品の内容までも二人の過去の作品のイメージから
何となく固定されてきてしまうのは私だけだろうか?
自分勝手な先入観とは恐ろしいものである

この作品に対し私が勝手にイメージしたものは間違いでも恋愛映画や
コメディー映画ではない(きっとほとんどの人も同じだろうが…)
そしてどちらかまではわからなかったが、多分アクションか
サスペンス作品ではないだろうか?と予想できた
実際観てみると予想通りで、サスペンス(少しノワール色がある)で正解だった
きっと同じような人は多いに違いないと思うが…

舞台はニューヨーク
7年前に判断を誤り、ある黒人男性をレイプ犯だと思い込み射殺してしまったことで
警察官を辞め、浮気専門の私立探偵に転職したビリー(マーク・ウォールバーグ)
ある日、ビリーは警官時代の事件の秘密を知るニューヨーク市長の
ホステラー(ラッセル・クロウ)に呼び出され、市長の妻の浮気調査を依頼された
市長一家の身辺をいろいろと調べていくうちに、ビリーはホステラーの関わった
数々の汚職についても次々と知っていくことになるのであった

やがて雇い主のホステラー自身が悪の元凶であることがわかったビリーは
彼と対決することを決意するのである
己にも負い目があるビリーが最後にとる行動は、一見地味ではあるが勇気ある行動だった
しかし地味であるが故、映画として盛り上がりに欠ける作品に
なってしまったように感じられた

2013年製作だからよかったのかもしれないが、ビリーの退職理由である
黒人の誤射殺人事件などは、現在では間違っても設定できないストーリーだと思った

 

ブータン 山の教室

ブータン 山の教室

2019年制作ブータンの作品
もしかしたらブータンの映画を観るのは初めてかもしれない
しかもブータンという国の位置すらも定かではないので調べてみた
その結果、大体の位置は掴めたが、正確な国境がどこにあるのか?
残念ながらそこまでは調べた地図からはわからなかった
したがっておおよその位置でしか説明できないのだが、ブータンという国は
チベットの下(南)、バングラディッシュの上(北)に位置し、東西はミャンマーと
ネパールの間にある内陸国だとわかった

当然、おおよその位置だけではこの国についてほとんどわからないのであるが
ヒマラヤ山脈があることから標高の高い国であるということだけは
何となくイメージできた
このように私にとって全くと言ってよいほどなじみの薄い国である
そんなブータンの中で最も僻地の一つであるルナナ村が舞台となっている作品である
(当然この村について知るわけはない…)

おそらく生きている間に行くことのできない国や場所というのは
それだけで妙にロマンを感じるし、せめて映像だけでも体感してみたくなる
ましてやコロナ禍の現在、海外へは通常行きたくてもいけない現状である
この作品は、私の普段の生活では全く関わることのない未知の映像作品である
ここのところ続いている閉塞感を感じる毎日に、刺激的な非日常を
与えてくれるだけでも観るに値する作品に思えた

驚くことに、これだけインターネットが普及したにもかかわらず
舞台のルナナ村について調べようとしてもほとんど出てこない
ブータンのどのあたりに位置する村なのか?すらさえも調べられなかった

結局映画の中で知った情報である主人公の教師ウゲンの赴任先への
移動道程からルナナ村をイメージするしかなかった
その道程とは、ブータンの首都ティンプーからまずバスで半日移動し
そこから村の道案内と共に徒歩で6日間かかるというものである
この車以外での徒歩移動距離とルナナ村の標高が4800メートルと
いうことからイメージするしかないが、想像しにくい場所であることは確かだ
薄っぺらいイメージしか出てこないが、良くも悪くも大自然そのものといった
イメージを感じた

物語は他所からルナナ村に赴任した新米教師であるウゲンの
日常を通して描かれている
圧倒的な大自然はもちろんのこと義理堅い村長や心優しい村民
そして物は無くとも勉強したいと本気で思う子供たちを観ていると
時間が経つことも忘れるようだった
この作品の特に良いところは素晴らしい物語が存在していることだろう
このような作品では風景や人に力を入れすぎ、肝心のストーリーが
薄いことが多いのだが、この作品はそんなことはなくラストも
とても詩的な終わり方をしている

2005年に行われた国勢調査で国民の97%が「幸せ」と
答えた国であるブータンを少しだけ覗くことが出来たような作品だった
かなりお勧めの作品だ

ノマドランド

ノマドランド

2020年制作のアメリカ映画
ジェシカ・ブルーダーの渾身のノンフィクション
「ノマド 漂流する高齢労働者たち」が原作である
私はまだ読んでないが、著者は3年もの間、自らも車中泊しながら
全米2万4千キロを巡り、数百人のノマドを取材して書きあげたという
この事実を聞いただけでも読みたくなるというより
読んでおいた方がよいと思った

監督は中国出身の新鋭女性監督であるクロエ・ジャオ
この作品では少し特殊で、まず作品があり、その映画化権を取得した
フランシス・マクドーマンドからの依頼で監督に就任した
なので監督の思いで制作されたというより、依頼者である
フランシス・マクドーマンドの思いを表現することを第一に
考えたのかもしれない
クロエ・ジャオの前作「ザ・ライダー」を観て期待した人にとっては
少し違和感を感じた人も少なくないみたいだ

折角だから「ノマド」という言葉についても調べてみた
コロナ禍で、最近この「ノマド」が使われる言葉もよく聞く
「ノマド」とは、本来は遊牧民や放浪者を意味する言葉だという
そこから派生し、定住地を持たず移動しながら暮らす人とも解釈される
コロナ禍で使われるようになった「ノマドワーカー」の意味も
今回調べることによって改めてよくわかった

言葉の意味を知っても、言葉からだけでは何か自由で快適なカーキャンプを
しながら旅をする人々を想像してしまうかもしれないが
映画の予告を観たらそういったタイプの作品でないことは
容易に想像できると思う

実際本編は車上生活者の現実をひたすら追っていくという作品なのだが
映画とドキュメントの境のない部分を描き出している
フランシス・マクドーマンドが演じるファーンだけが
実在しないキャラクターで他の大部分は実際のノマドが出演している
だからどちらかというと役者が現実のノマドの中に紛れているという
ドキュメントの中にポツリと役者が存在している感覚だ

この作品を観た人で本当のノマドが出演していると知らなかったと
驚く人がいるようである
そしてフランシス・マクドーマンドが本物のノマドのようだったという人もいる
私は前知識なしで観たが、ノマドの出演者は本物だろうとすぐに感じた
ひとりひとりの存在感が重すぎて、全く役者には見えなかった
それと同じようにフランシス・マクドーマンドの演じるファーンは
他のノマドとは、少し違うように見えた
やっぱり簡単に同化することなど出来ないのだ