タイム・トゥ・ラン

タイム・トゥ・ラン

2015年制作のアメリカ映画
闇社会を描いたクライムスリラーと呼ばれるジャンルの作品である
ストーリーの大筋は非常にシンプルだ
裏社会のマフィアのボスが経営するカジノに集まる
公にできない汚い大金を、カジノで働く元ディーラーと用心棒が
中心になって強盗するといった話だ
当然強盗した彼らは、マフィアとマフィアの息のかかった警察の
二手から追われ、スリリングな展開になっていくのだった

盗みに参加した主人公の元ディーラーには、重い病を抱える娘がいて
手術を受けさせるための大金が必要だった
そこでボスに借金を依頼するのだが、その場で口論になってしまった
結局借金は断られ、おまけに仕事も首にされてしまう
この出来事が、彼が強盗グループに入ることを決定づけた

監督はスコット・マン、主人公のディーラーであるヴォーンを
ジェフリー・ディーン・モーガンと、正直私はこの二人をあまり知らない
しかし、裏社会のボスであるポープをロバート・デ・ニーロが演じることで
この作品がたちまちメジャーで魅力的に見えてくるから
デ・ニーロのネームバリューは、とてつもなく凄いものである
私自身もロバート・デ・ニーロの顔が中央に出てなければ、この作品を
鑑賞したかはわからない

そしてこの作品でもう一つ特筆すべきは
カジノの用心棒で強盗の計画をしたコックスを米国で人気のある
プロレス団体WWEの元王者デビッド・バウティスタが演じ
強盗を捕まえる女警官クリスを演じたのが、元格闘家の
女優ジーナ・カラーノである
この二人は当然だが、アクションに無理無駄がなく、そして妙にリアルに見えた
しかも役者としても全く違和感がないからその演技力は、流石というしかない

ストーリーはスピード感あり、そしてアクションが多く
目を離せない展開で進んでいくのだが、私には偶然にしか
思えないところにも、ストーリーの小ネタが隠れていて色々と驚かされた
出発時間に遅れ、やっとのこと強盗団が飛び乗った路線バスにまで
そんな周到な仕掛けがされていたとは! 
多少のことぐらいは強引にでも納得し、楽しんだほうがよい作品だと思う

盗聴犯  狙われたブローカー

盗聴犯  狙われたブローカー

前日このブログにアップした「死のインサイダー取引」を観た私は
久々の香港映画だったこともあり、忘れかけていた独特の
アクションやスリル、そしてグロさを思い出した
だから続編的なネーミングのこの作品を見つけた時は、すぐに
この作品も観たいと思った

どちらのタイトルにも「盗聴犯」と付くこの二つの作品だが
二つに物語の連続性は全くなかった
更に登場人物で3人が主役であることと、その3人の役者が
同じ人物であることは変わらないのだが、役どころが違っているのだ
これだともはや別作品と考えた方が自然なのかもしれない
この映画タイトルを付けるセンスは日本の感覚とは違うと思うが
香港では普通のことなのだろうか? ちょっと気になってしまった

ストーリーの始まりから面白い
株ブローカーであるローの運転するフェラーリーが何者かに追跡される
ローはその車を振り払おうとして事故を起こしてしまう
高級車であるフェラーリーを、事故らせてしまう衝撃的なシーンなのだが
すでにここから私は、かなり引き込まれた
そして、その車から盗聴器が出てきたところから話は加速していった

ローを追跡していたのは、退役軍人のジョー
やがてローの背景にある大きな組織が見えてきたとき
ジョーの本当の目的もわかってくるのだった

これだけでも十分面白いのだが、ストーリーはここにもう一枚
役者を組み込んでいるのだ
それは、ローを監視するジョーに感づいた正義感の強い刑事ホーであった
何とホーは、過去に弁護士であった自身の妻の罪を暴き、逮捕していたのだ
たとえ自分の妻であっても、罪は許さない男なのだ

こうして大筋を書いていても、登場人物の似た名前に混乱してきて
人間関係が絡まってしまいそうになるのだが
要はこの主役3人、ロー、ジョー、ホーが敵対し、先の読めない
スリリングで巧妙な話になっているということである

体に埋め込んだGPSと盗聴器がものを言ったラストは、個人的には
ちょっと複雑な気持ちだったが、これが本物の「盗聴犯」だと
妙に納得はできたのだった

盗聴犯 死のインサイダー取引

盗聴犯   死のインサイダー取引

2009年製作の香港映画である
あの「インファナル・アフェア」シリーズを手がけたアラン・マックと
フェリックス・チョンが監督である
あえてジャンル分けするとしたら、確かにアクション映画ではあるが
香港が得意とするノワール映画の要素が強い作品だ

盗撮・盗聴のスペシャリストの三人の刑事が主役である
共に気心知れた三人は、他の刑事達とは違った特別な絆で結ばれている
ある大がかりな捜査が始まって、株の不正取引の疑惑の
掛かった大会社を盗聴することになった
捜査員十人以上の規模で、24時間体制で捜査が始まったのだが
偶然にも、三人の主役のうちの二人だけが盗聴中に
株価吊り上げの情報を傍受するのだった
この情報を知っているのは、主謀者と刑事2人だけということである

傍受した刑事の一人は、自身が末期がんで余命一年と知っていた
残される妻と大病を持った子供のために、この情報で大金を得ようとする
もう一人の刑事も、その場に居なかった別の相棒も結局最後は
この刑事に加担して3人が罪人となってしまうのだった
それから彼らはマフィアに追われることになり、3人とも
もと通りに立ち上がれないほどに、落とされてしまうのだった

この作品ストーリーが面白い
次々と展開が変わっていき、ちょっとした落ち度というか
詰めの甘さが命取りになっていく
そこの按排も絶妙である

また三人の人物描写も面白い
直接はストーリーに関係ないところまで三人を掘り下げている
その人物の人間的な一面までを、観る側に情報提供して
くれているような感じがしたが、それもこの映画の全体像にとっては
必要な隠し味となっている気がする

後半になっていくにつれ、気の抜けない状況になっていくのだが
タイトルにある通り、正に「死のインサイダー取引」になっていく
結局、誰も救われないラストが、この作品がノワール映画で
あることを確認させてくれる感じがした