殺人漫画

殺人漫画

普段からホラー映画は敬遠している私だが、ここのところ
少しは観るようになってきた
去年はアメリカ映画の「アス」を観たのだが、一般的評判の高い
作品であるにもかかわらず、あまり私には面白さが伝わってこなかった
この作品はチラシの一度見たら忘れないようなインパクトのある女性の顔と
わかりやすいタイトルに惹かれ鑑賞した

作品紹介の欄には2013年公開時、韓国で大ヒットを記録した
韓国ホラー映画だと書かれていた
私には初めて観る韓国のホラー作品になった
ストーリーの大筋はシンプルで、漫画作家ジユンの作品に描かれた
絵と殺害現場の状況が一致する事件が連続する
この事件を追う二人の刑事により、ジュンの廻りが調べられれ
徐々に事件の背景が見えてくるのだが、決定打は最後までわからない
だからラストまで観てないと真相はわからないつくりになっている

物語の前半が特にホラー色が強いのだが、最初の30~40分くらいは
かなり緊張感があった
ほぼ密室で人が殺害されるシーンが2件起きるのだが、もはや人間の
仕業ではなく、逃げようがない霊による殺人に思えるところがとても怖かった
時折アニメーショーンが使われているのだが、そのアニメのタッチも荒々しくて怖い

主な出演者はとても少なく、物語のカギとなっているのは二人の刑事と
主人公の漫画家ジユンと、この作品のカギとなっている女の子のソヒョンである
少ない登場人物だからその全員を掘り下げて描けることが、物語の
理解しやすさに繋がっていると思った

観終わった最後に感じたのは、前半の霊による殺人ももちろん怖いのだが
後半には、登場人物の犯した過ちが次々と明らかになる
見ているうちに段々と、過ちを犯す人間の欲望のほうが、霊よりずっと怖いと
気づかされるような気がした
私にとってこの作品は、全体的に怖さは控えめで、どちらかというと
ストーリー重視で見ごたえある作品に思えた

9人の翻訳家  囚われたベストセラー

9人の翻訳家  囚われたベストセラー

あの世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」で始まる
人気シリーズの4作目「インフェルノ」の出版秘話に
基づいたミステリー映画である
「ダ・ヴィンチ・コード」は少し前に映画化され、内容は忘れたが
私も観ている

出版されればベストセラー間違いなしである「インフェルノ」の
世界同時発売に向けて、情報漏えいを絶対に防ぐため
各国の翻訳家たちを秘密の地下室に軟禁し、翻訳を
行ったという前代未聞のエピソードが本作品の題材である

物語は、フランスの人里離れた村にある大きな屋敷の密室が舞台である
この屋敷の地下に隠された要塞のような密室に、9カ国の翻訳家が集められ始まる
外出はもちろんだが、電話やSNSなどの通信も厳しく禁止されている
翻訳家たちへのミッションは、毎日20ページずつ渡される原本を
それぞれの言語にひたすら翻訳していくといったものだった

やがて物語が動き出すのだが、このような徹底した管理を
しているにもかかわらず、ある夜出版社社長の元に
「冒頭10ページをネットに公開した 24時間以内に500万ユーロを
支払わなければ次の100ページも公開する もし要求を拒めば
全ページを流出させる」という脅迫メールが届くのだった

ミステリーであるから、ここからが見せ場であり、当然
色々なことが起こり、色々な謎が生まれたり、解き明かされていく
最も面白いところである
テンポも良いので、興味深い物語に飽きることなく犯人捜しが出来た
だが後半になり、犯人やその背景と動機が解き明かされたときは
只々納得するしかない気持ちだった

普段私はあまりミステリー作品を観ないので、色々な展開が
新鮮で楽しめたのだが、ちょっとうまく出来過ぎた話に
いくつか疑問を感じずにはいられなかった
そして何より感じたことは、翻訳者たちの話であるのに
翻訳についての内容は、ほとんど無いことである
翻訳は、物語のきっかけとしてでしかなかったことは
ちょっと期待外れだった

美術館を手玉にとった男

美術館を手玉にとった男

生き方が奇妙であると映画になってしまうかもしれない
といった前例になりそうな作品である

名作と呼ばれる有名絵画の贋作を特技(生きがい)としたある男が
その完成した贋作を30年にわたり、アメリカ各地の美術館に
無償で寄贈し続けた
もちろん本物だと偽ってである
私などは「何のために?」と思ってしまうのだが、バレるかもといった
スリルを味わうための趣味のような行為だったのかもしれない

それがようやく2011年になって、美術館に展示されていた数々の
これら贋作が、ニセモノだったことが判明するのだった
この事件で全米のメディアは騒然となり、FBIも動き出す騒ぎに
なったのだが、金銭の授受がないことから寄贈した男は
罪に問われることがなかった

作品は、この事件の主役である妙な男マーク・ランディスの素顔に迫り
ランディス本人のコメントや作業工程、さらには寄贈に向かうシーンまで
映像化されている
そして、まんまと一杯食わされた側である美術館関係者のコメントや
最初にニセモノと気づいた当時オクラホマ美術館の職員だった
マシュー・レイニンガーのインタビューで綴られている
ドキュメンタリー作である

私は最初は興味津々で観ていたが、勝手な想像とは違う内容と
基本同じことの繰り返しのような映像に、中盤からは飽きてきてしまった
そして最後のシーンで彼のための展覧会を開催しているオメデタさは
かなり理解に苦しむものであった

この事件の最大の問題点は、ニセモノと見抜けずに本物として
各州の公的施設である美術館が展示してしまったことだと思う
彼の作品の出来がいいことは想像つくが、寄贈というルートでの検品の甘さや
本物と確認をせずに、展示までたどり着ける美術館内のルールについて
一石を投じた作品と思わないと意味がないと思うのだが