熱帯魚 吉田修一
吉田さんはとても好きな作家で、これまでに何十冊と読んでいる
文章も難しくなく、ストーリーもわかりやすい
それでいて読後にしっかりと感動や衝撃を与えてくれる
そんな作品が今まで読んだものには多かったような気がする
しかし、この作品「熱帯魚」はちょっと違った
短編か中編なのかわからないが、程よい読み応えを感じる長さの
3編からなる作品だ
読みやすさに関してはいつも通りだが、ストーリーの雰囲気が
今まで読んだ作品とは違っていた
そのストーリーだが、どう違うかというと
書いている題材がこれまでの作品と少し違うような気がする
いままで読んだ作品は、それほど大袈裟ではないにしろ
どこか小説の中の話っぽさがあった(私にはそんな気がする…)が
そのような感じがこの作品からは、まるでしないのである
実際近所のどこかに住んでいそうな人を描いているような
感じがするし、あまり表面的には大きく動くことのない展開も
自然すぎるとも思える
その代わりと言っては何だが、内面的な感情の動きはこれまでより
伝わってくる感じがする
人間の生々しさを普段の生活を題材に淡々と描いている
何か起こらないと面白くないと思う人には恐らく
ひどく退屈かもしれないが、こういった小説が好きなものにとっては
たまらない作品だと思う
私は最初の「熱帯魚」で一気に真剣モードにさせてもらった
そして全編を、ほぼ一気に読んだ
3編の中では「グリンピース」が特に好きだった
どうしてこの作品が好きなのか自分でも明確ではないのだが
言葉にできない表現が、巧みな言葉を使って何とか
伝わってくるような感じがして好きなのだ
そしてそんな私のいい加減な評価や感想などを、全く寄せつけない
作品のように思えるところも好きな理由である






