私のちいさなお葬式
2017年制作のロシア映画
第39回モスクワ国際映画祭で観客賞に輝いた作品である
老人とアル中しかいないロシアのある小さな村が舞台である
村にただひとつの学校で教職を定年まで勤め上げた73歳になる
老女エレーナが主人公である
夫にはもうずいぶん前に死別して、一人息子も都会で働いている
そんな彼女は、一人つつましくこの田舎で暮らしていた
村の者からは今でも「先生」と慕われており
近所付き合いもまずますで、贅沢を言わなければ
日々の生活に不満はなさそうに見える
そんな彼女が病院で余命宣言を受けるところから映画が始まる
ここからエレーナの起こす行動が映画になっているのだが
普通の人にはなかなかできない終活準備の手際のよさなのだ
エレーナの面白いところは余命宣言を受けた時である
たぶん多くの人は、死を宣告されたらまず自身が落ち込む
ところから始まると思う
しかし、エレーナの場合は違っていた
そのような悲壮感などなく、5年に一度しか顔を見せない
都会で忙しく働く、ひとり息子のオレクに迷惑を
かけたくないと思う思いが一番だった
やるからには徹底しているエレーナは、葬式の費用や役所の手続きや
お棺選びなどは当然のことで、さらにはまだ生きているのにかかわらず
死亡診断証明まで取得するのだった
やがてその診断証明に書かれた日がくるのだが、エレーナは死ぬことが
出来なかったのだった
意識してないコミカルさも心地よいし、普段見ることのないロシアの
田舎町の風景も素敵だった
そしてエレーナの家の前の水たまりや冷凍庫から生き返った鯉や
都会で金儲けを提唱する仕事をする息子と田舎で浮浪者になってしまった
息子の昔の彼女など、どこか詩的だと感じた






