去就  隠蔽捜査6  今野 敏

去就  隠蔽捜査6  今野 敏

警察小説は、確立されたひとつの小説ジャンルである
それだけたくさんの作家が、個性的で面白い作品を発表している
本当に感心してしまうほど作り手は色々な物語を生み出す
その中でも今野さんはとても人気のある作家である
作品数も多いし、この作品もシリーズ化している

少しは本を読む私だが、今野さんの作品を読むのは
実はこれが初めてである
当然、名前は知っていたが、どういうわけか機会がなかった
今回何故この小説(しかもシリーズのいきなり6から)を
読むことにしたのかは、この本の前に読んだ本に挟まっていた
その出版社の作品のチラシを見て、この本が面白そうだと
思ったからである   実に単純な動機なのだ

実は同じようなパターンで読んだ本が、私は結構多い
本を読んでいる間中、チラシは常に本に挟まっているので
その間に何度かそれを読む機会があることが大きいと思う
特に次に読む本を決めてないときなどは、このチラシがとても
有効な宣伝となるのである
正に出版社の思うつぼ状態である

さて初めて今野さんを読んだ感想だが、さらりとしていて読みやすい
事件も日常もそんなに派手ではないので、読み飽きしないと思う
登場人物である主人公竜崎の人間性は、私には個人的にとても
付き合えそうにないと思ったが、警察の仕事を全うするには
最適な人物だと思った

物語りの中でストーカー殺人事件が起き、捜査本部が設置された
そこに集まる色々な人の複雑な上下関係の中で、竜崎は最適と
思える判断をし、的確に指示を出すのだが、組織にはびこる
くだらないしきたりなどを徹底的に取っ払った竜崎の指示は
時に同僚や上司と敵対するものであった

ストーリー中での竜崎の言動は正しいと思えた
それは彼のとった行動を説明した時に気づかされる
正しい行動は時に敵を作る
だから正しい行動をとり続けることはかなり難しい
そのことを理解している竜崎のファンが読者に多いから
このシリーズが続くのかもしれない

是非このシリーズの別の本も読みたいと思った

男たちの挽歌

男たちの挽歌

この作品の劇場公開が1987年4月25日公開だから
もう30年以上も前の作品である
私はリアルタイムで観たわけではなく、ビデオ化され
大変評判が良かったことで観たと記憶している

それは公開から2~3年経ってからこの作品がシリーズ化され
2、3と続編が出てきた頃だったと思う
その頃はレンタルのTSUTAYAがとても勢いあって
年末年始などになるとレンタルの棚が半分くらい貸し出されて
無くなっていたような懐かしい時代である

私も、もう何度も観ている作品なのだが、アマゾンプライムで
偶然この懐かしい作品を見つけたのがきっかけで、即観たのだった

最近は作品本数も減ってきた気がするが、韓国のクライムサスペンスの
ずっと前に「香港ノワール」と呼ばれるギャングものが大変盛り上がった
私もかっこいいこれらの作品が大好きで、わざわざ東京まで
観に行ったりもした
この作品はその「香港ノワール」の火付け役となった作品である

ストーリーはシンプルだ
偽札組織に身を置くホーと兄弟分のマーク(チョウ・ユンファ)
二人はどんな取引もやり遂げるので、ボスの信頼を得ていた
二人共、互いが組めば何でもできると信じていた
ホーには出来の良い弟のキッド(レスリー・チャン)がいた
ホーはのちに警官となるこの弟に、自分がギャングだと言い出せなかった
やがてホーが嵌められて、警察に捕らえられる
そこからストーリーの展開は急変していくのだった

あらすじはこれくらいにしないと、スペースがどれだけあっても
足りなくなってしまうのでおしまいにするが非常にシンプルで
わかりやすいストーリーである
そして最後は、登場する人物それぞれがストーリーの流れ的に
なるようになった感じで、戦いに突入した

何度も観ていて、当然展開もセリフもわかっている私だが
全く同じところで感動し、泣いていた
何年経っても成長してないと悲しむべきか?
自分は変わってないと喜んだ方がよいのか?

やっぱりかっこいい作品だということは確かなことである

祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時

私は最近めっきり読むことが減ってしまった作家である東野圭吾さん
とても人気の高い作家で、これまでに何作も映像化されているので
本を読まない人にも知名度は非常に高いと思う
この作品はそんな東野さん原作の映像化である

本作は映画「麒麟の翼 劇場版・新参者」と同様で阿部寛が
主人公の刑事・加賀恭一郎を演じている
私は麒麟の翼は小説も読み映画も観ているが、この映画は
原作を読んでない
だから映画で初めてストーリーを知ることになった

今回の事件は、加賀の身近な人が絡んでいた
最初は直接担当してなかった加賀であるが、2つの殺人事件について
後輩刑事の相談にのっているうちに、自身に関係ある人が絡んでいる
可能性があることに気づく
ここが加賀の凄いところであり、この事件の解決に向けての
大きな転機となっている
そしてこの事件の殺人犯親子と、家を出ていった自身の
母の関係などが解明されて、加賀自身も知らなかった
家を出た後の母親の生活ぶりが明らかになっていくのであった

いつもの東野圭吾作品と同じように、複雑で意外な人間関係が
絡み合うのだが、ストーリーの筋は整理されていてわかりやすい
そして出演している役者の演技力は確かなので、シーン毎で各々の
感情が手に取るように伝わってくる

只、シリーズを通して映画自体の作りが非常に似ているように
感じてしまうのは私だけだろうか?
本作も映画「麒麟の翼」に非常に似ているように思ってしまう
これは原作の特徴に関係するのだろうか?

どの作品も、どうしょうもなく追い込まれた犯人が、やむにやまれず
犯行を犯してしまうといったストーリー展開だからどことなく
似てきてしまうことかもしれないが、どうだろう?
話の本筋がいつも暗いところが、同じようだと思ってしまうのだろうか?
悪いことではないからどうでもよいのだが気になった

そんなことを感じたので、本作と「麒麟の翼」が
同じ監督なのかと思って調べてみたが、違う監督であった