キネマの神様 原田マハ

キネマの神様    原田マハ

この本は映画がテーマとなった小説である
本日で3日続けて映画について書いていることになる
筆者の原田マハさんは名前も代表作も知っていたが
これまで一度も読んだことはなかった
私の中では原田さんの本では「カフーを待ちわびて」が
最も読みたいと思っていた本である
実はだいぶ前から既に手元にあるのだが、映画が題材のこの本を最近
購入し、その新入りに抜かれてしまったのである

読んでみた感想としては、ストーリーは出来過ぎ感があり
展開も少々ドラマチックすぎるが、大変面白かった
映画についてが主題だが、映画が人間関係の潤滑油になったという
話であるので、作品に詳しくなくても十分楽しめる作品である

私は読んでいる間、昔あちこちにあった古い映画館の
イメージが頭の中を駆け巡った
昔の映画館は今とは違って汚かったと思う
どうでもよい話だが、昔私がよく行っていた映画館などは
映画館にトイレが扉なしで付いていて、何時行っても
一年中ウンチ臭かったことを思いだしたりした
本当にどうでもよいことだが…

この小説の主人公は39歳の独身女性の歩である
シネコンを企画する国内有数の再開発会社に勤務する女性課長の歩が
突然会社を辞めるところからストーリーは始まる
同じ時期に歩の父親であるゴンちゃんが倒れ入院する
その時ギャンブルと映画を愛するゴンちゃんに多額の借金が
あることが発覚するのだった

いきなりこの設定からスタートするので、もはやボーと
読んでいるわけにはいかないのだ
そこから歩が映画雑誌会社に再就職し、ゴンちゃんが映画ブログを
スタートし、アメリカで最も有名な映画評論家ローズ・バッドと
討論を開始するまで実に無理無駄なく進んでいく
そこが私はきれいにまとまり過ぎに感じたのだが、人によって
全く違う感じ方なのかもしれない

映画をきっかけに、家族愛と友情や仲間を描いた
とてもハートフルな作品である

辰野金吾と日本銀行

「辰野金吾と日本銀行 ―日本近代建築のパイオニア―」

私はこの特別展が開催されている貨幣博物館には、初めて訪れた
日本銀行の本店近くにこの博物館があることは、昔から何となくは
知っていたが、何故だかこれまでに足を運ぶチャンスは無かった

今回ここを訪れたくなったのは日本銀行本店をはじめ
数々の支店の設計を手掛けた建築家辰野金吾の特別展が
開催されていたからである

建築を学んだ者にとっては辰野金吾は特別な建築家だ
おそらく建築家と呼べる日本人最初の人物である
日本銀行本店、国会議事堂、東京駅の設計に携わった人物は
過去にも将来的にも彼だけだと思う
正に日本近代建築の礎を築いたと言える

会場には設計図はもとより、視察に訪れたヨーロッパで
スケッチした装飾柱や窓などの詳細な資料がたくさん展示されていた
これまで前例がない形式の建物を設計することは
本当に苦労しただろう
それがこれらの残された膨大なこれらの資料から伺え知る感じがした
今年は彼の没後100年ということもあり、それを記念して京都文化博物館や
東京駅内の東京ステイションギャラリーでも
それぞれのテーマに沿った特別企画展が開催されている

今回初めて訪れて知ったのだが、なんとこの博物館
うれしいことに入場料が無料なのである
入場の際は、国際空港並みの手荷物検査はあるのだが
入場にお金がかからないのには、かなり驚いてしまった

館内には常設で、お金に関する興味深い資料がたくさん展示されていた
誰もが持ち歩き、そして多分持ち歩くものの中で最も大切なものが
お金だろうと思う
だからそのお金についての色々な豆知識に興味を持つ人は多いと思う
私にとっても初めて知ることが多く、そちらも大変面白い展示だった

キャッシュレスが急速に進んできた今日この頃
50年後のお金はどうなっているのだろうか?
50年後の人たちは「昔はお金というものを持ち歩いていたらしい」
などと言いながらこの博物館を訪れているのかもしれないなどと
私は妄想したのだった

プリデスティネーション

プリデスティネーション

2014年制作のオーストラリア映画である
SF小説の大家ロバート・A・ハインラインによる短編小説
「輪廻の蛇」の映画化だという
非常に簡単に言うとタイムマシーンものである
話が進むにつれ、時系列が滅茶苦茶になってしまうので
頭が良い人でないと一度で理解できないのでは?と
思いながら観ていたのだが、当然私も所々に?マークを
感じながらも、もう必死で物語りにくらいついていた

タイムマシンものには2種類あるように思う
一つは、過去を旅することが主体の作品である
この作品がそうであるが、こういった作品のタイムマシンは
古いもののことが多いと思う
この作品でもいかにも年代物のような木製のバックが使われたいた
その逆で未来が主体の作品では、タイムマシンも未来的な
もののことが多いと思う
そうした方が違和感がなさそうなので当たり前の
演出なのかもしれないが、イメージしやすいと思った

主演のイーサンホークは、時間と場所を自在に移動できる
政府のエージェントである
彼が過去の世界で酒場のバーテンダーをやっていた時に
客として訪れた一人の青年の身の上話を聞き、彼の人生を
狂わせた過去を変えるため青年とタイムスリップするのだった

バーで青年の話を聞くシーンだが、時間にして15分くらいは
あったと思うがとても印象的なシーンだった
映画全体が97分という尺の中での15分は短くない時間である
この間の青年とイーサンホークの演技も素晴らしいが
青年の話した話の内容に、強く引き込まれてしまった

そこまではゆったりとした映画だったが、その後からは
あわただしくストーリーも時間も変わっていった
私は真面目に観ていても時間軸がわからなかった
それでも何とか理解できたところだけを繋ぎ合わせるだけでも
謎解きができたような気分になれた

ベースとなった短編小説「輪廻の蛇」は、たった23ページの
短い作品だという
それにも驚いてしまったが、2、3回読んでよく理解してから
鑑賞すると全然違った感じなのかもしれないと思った
小説は読んでみようと思っているが、私が一度で理解できるとは
到底思えないことだけは確かだと思う