探偵なふたり

探偵なふたり

2015年制作の韓国映画である
この作品は人気が高かったのか? 続編もあるのだ
今年3月には「探偵なふたり リターンズ」という続編が公開された

本作は、韓国映画が得意とする「クライムサスペンス」と呼ばれる
ジャンルとは少し違い、コンビもので笑いの要素がかなり強い
バディムービーになっている
バディムービーとは、主人公が二人一組で活躍するジャンルの映画である

ストーリーはかなり練られていると思った
どうして最初から漫画喫茶の店主のうだつの上がらない様子を
長々と映しているのか?そして彼がどのようにして
本物の刑事とコンビを組み、殺人事件の捜査にあたるのか?
最初から全く展開が読めなかった

しかし、ユーモラスな雰囲気で話が進むにつれてストーリーの
骨格が見えてくるのだった
しかも無理無理なストーリーではなく、不自然さを感じずに
推理マニアの漫画喫茶店主が、本物の刑事とコンビを組んでしまうのだった
刑事もののバディームービーはたくさんあるが、この展開は
かなり新鮮だった

特に、この店主が乳飲み子を連れて捜査にあたるシーンは
もはやだれが見ても何かが起こることは予測できる
しかし展開が読めないので、それがコメディーに振り分けられるのか
事件に巻き込まれてしまうかがわからないのだ
観ている側には、普段あまり感じたことのない緊張感があると思う

コミカルなシーンとシリアスなシーンとの配分や
事件と犯人の意外性なども見事だと思った
上手いストーリーだと思う
私は上映時間である約2時間の間は、時間を忘れてしまうくらい集中できた

主演のクォン・サンウはもちろんイケメンなのだが
今回のような女房に頭の上がらない情けない男もなかなか似合っている
彼はきりっとしたイケメンではなくて、優しい感じのイケメンなので
このような少し間抜けな役でも好演できるのだと思った

リターンズもぜひ機会があれば観てみたい

 

存在のない子供たち

存在のない子供たち

2018年製作のレバノン映画
ここ10年くらい静岡市に住む私でも1年に1本くらいは
地元で中東の映画を観るチャンスがあるようになった
昔は東京まで行かないと観ることは出来なかったので、大変ありがたい
それだから出来るだけ興味のある作品は観るようにしているのだが
最近観た作品は、どれもが素晴らしい作品ばかりだ

素晴らしさとは、単に文化や宗教の違いによる好奇心だったり
街並みや服装がもの珍しかったりというような上っ面だけのものとは違う
当然、特撮やCGなど映像技術などでもあるばずもない
そして一口に中東の映画といっても、ミステリーだったり
人間ドラマだったり、人種問題だったり、戦争が主題だったりと実に色々である
そんな中、共通する長所がないだろうか?と、よくよく考えてみた時に
思いついたことは、どの作品にも「人間」について
シンプルに描いている作品が多いと感じた
そしてその描き方が、私は素晴らしいと思うのだと思った

さて本作は、レバノンの女性監督であるナディーン・ラバキー監督作である
私は彼女の作品を今回初めて観た
監督自身もこの作品内に役者として少しだけ登場するのだが
女優さんだと思うほどの美貌であった

そんなラバキー監督が実際にレバノンの貧困地区、留置所、少年院を
3年もの間、人間観察し脚本に落とし込んだ人間ドラマである
中東もレバノンの現実についてもまるで知識のない私は
映画のパンフレットを購入し、読んでみたのだが
現実に限りなく近い世界を描いていることは理解できた
そしてこのパンフレットには知り合いで、私にこの作品を薦めてくれた
中東映画研究者の文章も載っていたが、その文章からは中東の情勢とこの映画の
位置づけが的確にとらえられていて、作品の理解がさらに深まる内容であった

主人公のゼインは親が出生届を提出しなかったのでIDがない
このことは公的に存在してないことを意味する
子だくさんの貧しい家庭に生まれ、小学校にも行けず
生活の足しにと小銭稼ぎに出る毎日を送っていたゼインが
妹の強制結婚で、親とけんかをして家を出てしまうのだった
ここから何も持たない12歳の子供の貧困な国での放浪生活が始まる

この映画で最も印象深かったのは、エチオピアからの不法移民である
一児の母ラヒルとゼインの出会いだろう
住むところのないゼインを自分の住むバラックに住ませてくれたラヒル
やがてそのバラックでラヒルの働きに出る日中は
ゼインがラヒルの子(乳児)の子守をするようになった

ある日、突然警察に連行され戻らなくなってしまったラヒルに代わり
必死に子供の世話をするゼインがいた
人を助けている場合ではないくらいの最も弱い者達が、最も命を尊重し
親切で愛情深く生きている
シンプルでいて、実に鮮明に人間が描かれている作品なのだ

北の果ての小さな村で

北の果ての小さな村で

北極圏の島国であるグリーンランドにある人口80人の
村の生活が描かれている作品
そんな映画なのであるが、不思議なことに
2018年制作のフランス映画なのである

観終わってからうろ覚えだったグリーンランド島を
地図で確認し、驚いてしまった
まず島と言ってもそれまでの勝手なイメージと違い
とてもでかいのだ
それもそのはず、世界最大の島なのだ
日本の面積の5.73倍だというから比較にはならないのである

そしてもう一つ
これも勝手にヨーロッパの一部だと思い込んでいたのだが
平面な地図を見る限りではカナダの上に位置していた
どちらかというと北米に近いのだ
これにはかなり驚いた

政治的にはデンマークの旧植民地で、現在はデンマーク本土と
フェロー諸島とグリーンランドと対等な立場でデンマーク王国を
構成する国で、独自の自治政府を持った国であった
これも当然知らなかったことであるのだが、これらのことは
この映画を観る前に知っておきたかったことだ

グリーンランドの村の小学校にデンマーク政府から派遣された
青年のデンマーク人教師(アンダース)とそこに住む村の人々の
交流を描く作品である
28歳のアンダースは、実家の稼業である農家を継ぐか
政府の派遣教師になるか迷っている状態の中で
グリーンランドに赴任した

最初は村人にも極寒での暮らしにも戸惑っていたアンダースだが
段々と慣れて、村民たちとも打ち解けていった
特別なことが起きる映画ではないのだが、この島の暮らしは
日本の暮らしとはギャップが大きすぎるので
私には見るものすべてが新鮮だった

最後にアンダースは農家を継がずに、グリーンランドでの
教師の生活を選択した
映画の中に映し出される圧倒されるほどに雄大で
美しい自然の映像には、不自由なく日本でぬくぬく暮らす私にさえ
不自由さと引き換えに得られるものを考えさせてくれるものだった