ミナリ

ミナリ

昨日も「レッドファミリー」で韓国映画のレベルの高さを書いたが
この作品は私に韓国作品が遂にハリウッドに本格進出したことを
大きく印象付けた作品となった

実はこの作品について私は全く予習なしで鑑賞したのだが、始まったところで
まずビックリしてしまった
意外にもこの作品は2020年製作のアメリカ映画なのだ
しかもバックに付いたのが「A24」と「PLAN B」である
こんな日がついに来たのかと本編が始まる前に大きな驚きを与えてくれた

「ムーンライト」などを代表作とするどちらかというと
作家性の強い骨太な作品で高評価を得ているスタジオ「A24」
個人的に最近観た面白い作品の多くは大抵「A24」だった
そして人気俳優であるブラッド・ピットの製作会社ということでも有名な
作品にこだわりを持った「PLAN B」
この二社がチョン監督の脚本にほれ込み、タッグを組んで作った映画なのである

監督は韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン
そして出演も韓国人家族を主人公とした作品である
更にそうなると当然なのだが、大半が韓国語のセリフである
遂にここまで韓国の映画ビジネスがハリウッドに受け入れられるようになったのだ
個人的には凄いことになってきたと思わずにはいられなかった

舞台は1980年代のアメリカ南部
大きな夢を抱いて韓国から海を渡りアメリカにやってきた
韓国系移民一家を描いた家族ドラマである
韓国野菜を育てる農場を経営することを夢見るジェイコブは
荒地に建つトレーラーハウスに家族4人とともに転居した
病院が遠いことから心臓の悪い息子デビッドを思い妻モニカは
不安を抱くが、ジェイコブは自分の夢を優先する
長女アンも不満を口に出すことなく、ここでの不自由な生活は始まるのだった
やがてモニカの母で、破天荒な祖母スンジャがこのトレーラーハウスに
引っ越してきて物語が忙しく動き出すのだった

脚本はチョン監督自身の家族をモデルにした自伝的物語であるという
時代設定から劇中の幼いデビッドが監督自身ということになるだろう
それだからスンジャへの思いの強さと彼女の存在の大きさが
とてもよく伝わってくる作品になっていると思う
そして大地や森や池、木漏れ日などの映像の美しさが際立っていた
どちらかというと物語は地味で、かなり玄人好みの作品だと思えた

タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜の芹(セリ)を意味する
悪条件でも屈することなく根を張り、2度目の旬が最もおいしいと言われる野菜
次世代の幸せの為にその前の世代が懸命に生きることの繰り返しを
意味するのかもしれない
とても素敵なタイトルである

レッド・ファミリー

レッド・ファミリー

日本での劇場公開は2014年だったからもう7年前ということになる
今さら韓国映画の完成度を素人の私が語らなくても映画好きなら
十分理解していると思う
この「レッド・ファミリー」は、世界に韓国映画を広めた先駆け的存在である
鬼才キム・ギドクが製作と脚本を手がけている
そして2013年・第26回東京国際映画祭コンペティション部門で上映され
観客賞を受賞している

この作品はその当時から日本でも注目されていたので、私もリアルタイムで
劇場鑑賞しているが、アマゾンプライムで見つけたことで久しぶりに
もう一度観ることにした
キム・ギドク作では、この作品より私は「嘆きのピエタ」の印象のほうが
断然強いのだが、この日はあまり鑑賞中に緊張感を持ちたくなかったので
この「レッドファミリー」を観ることにした

事実以外のことは知らないのだが、キム・ギドクは昨年2020年の
12月11日に新型コロナウイルス感染症のため訪問先のラトビアで死去した
59歳という若さでの死は残念でならない
まだまだ切り込む角度が独特で面白い作品をたくさん残せたと思える人なので
私の中でも損失感は大変大きかった

さて今さら感は大きいが、大まかなストーリーは
韓国のある町に住むお隣同士の二組の4人家族が主人公である
家族構成も年齢も近いこの二組の家族だが、決定的な違いがあった
一組の家族は韓国の平均的な家族で、もう一組は北の工作員が
疑似家族を装って暮らしているのだった
この対照的な二組の家族の関わりを描いた作品である

久しぶりに鑑賞したが、やはり素晴らしい作品だと思う
物語の着眼点からしてもはや類を見ないほどの作品なのだが
それに負けないくらいの内容を持った作品に仕上がっている
ユーモアの中にも南北の文化や思想の特徴を、見事に落とし込んでいる
それでいて南北どちらかに寄りすぎることないので
どちらにも感情移入できるし
さらに悲しすぎる映画にしないという意思をも十分感じる
正に映画の良いところ、面白いところをすべて引き出したような作品だと思う

キム・ギドクの新作を観ることのできない今となっては、彼の代表作を
忘れた頃に鑑賞して、改めて作品の良さを感じることしかできない

メッセージマン

メッセージマン

2018年制作のインドネシア・オーストラリア合作
B級アクション映画というジャンルになると思う
日本の映画館で全国ロードショーという作品では当然ながらなくて
ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の
「未体験ゾーンの映画たち2019」で上映された作品である

B級低予算作品のなかでは、恐らく最もハードルが高いと
思われるジャンルにあたるアクション作品である
チープさをどれだけ出さないかが、重要な一つの指標になるだろう

舞台はジャカルタの小さな島
引退した凄腕ヒットマンのライアンは安住の地を求めた航海の途中
乗っている船‎に不具合が発生し、部品修理の必要が出来たため
この島に立ち寄った
そして足止めとなった部品の修理を待つ何日かの間に
この島に住むドーニという少年とその母親と親しくなるのだった

ある日、島に海賊が上陸してきた
海賊は島中を暴れまわり、物品を略奪し家畜を殺し
やりたい放題状態になってしまう
そんな海賊団の運転するトラックにドニーが轢かれてしまう
瀕死の重傷を負ったドニーを見て、ライアンは立ち上がるのだった
後に解るのだが、ライアンと海賊のボスとの間には
過去に深い因縁があるのだった

アクション作品なので、もはやストーリーはあってないものでも
よいのかもしれないが、王道とも思えるようなベタで
わかりやすいストーリーだった
只、キャスティングを含むすべてにおいて匂ってくるチープな感じは
物語が進むにつれ段々とキツクなっていくようだった

チープさからくるイメージなのか?
どこか古い時代の作品のイメージがしたのだが
ドニーたちにGPSを取り付けたり、ヒットマン協会から
派遣スナイパーを派遣してもらったりと新しい要素が出てきて
私の中で時代が無茶苦茶になった感じがあって面白かった
このあたりが未体験ゾーンの作品なのかもしれない