ネコと昼寝 れんげ荘物語 群ようこ

ネコと昼寝   れんげ荘物語      群ようこ

群さんの作品では「かもめ食堂」がとても好きな作品だった
やさしい気持ちになれるような、ほっこりとしたあたたかい作品だった
他の作品も何作か読んだことがあるが、どの作品からも
そのような気持ちにさせてもらえた
勝手な推測から特に女性に人気のある作家さんのように感じた

この作品はシリーズ化されているようだ
しかも凄く人気のあるシリーズの第三弾 (全三作)である
私は何も知らずこの第三弾から読み始めたのだった
しかもそれらの細かな情報は、読んでいる途中で知ったのだった

読み始めても、まるで違和感がなく読めるのは
前シリーズから続いている話ではないからだと思う
有名広告代理店を45歳で早期退職し、安アパート「れんげ荘」で
貯金を取り崩し月10万円で暮らす主人公のキョウコと
れんげ荘に住む個性的で暖かい住人との日常生活が
描かれているのだが、この基本的な設定が続いていく話である
(私も途中から読んでいるので、多分なのだが…)

だから何作目から読んでも楽しめる
恐らく群さんがそのように作ってくれたのだと思うが
その点はありがたいし、一冊読むと前後は関係なくシリーズを
全て読みたくなってきてしまう

この作品「ネコと昼寝」では51歳となったキョウコの日常が
淡々と描かれている
お金は限られているけど時間はたっぷりある生活
誰からの束縛もなく、自由な中で鳥の声を聞き
平日の空いた図書館や美術館に散歩をしながら通う
そんな贅沢(私にとっては…)の中にも時々将来を不安になったり
現状の孤独にへこんだりしながら生活しているのだった

きっとこの作品の中に、読者は様々な感想を持つだろう
キョウコと同じ人生を歩いたものは、良いところも
悪いところにも共感するだろう
仕事に振り回されている人や自由な時間の取れない人にとっては
キョウコの生活は、大変な憧れだろう
私を含め多くの読者は、きっとこの作品でひとつの決断しかできない人生の
無いものねだりを妄想しているのだと思う

今昔東海道ステヰシヨン

今昔東海道ステヰシヨン

静岡市東海道広重美術館開館25周年を記念した特別展で
期間中に3回の展示替えがある
歌川広重が描いた東海道の浮世絵版画とともに、江戸時代の宿駅と
明治以降に開設されていく鉄道の駅とを紹介する展覧会である

PART1では広重が50代前半に手掛けた東海道(蔦屋版東海道)
全54枚が展示されていた
PART2では広重30代に手掛けた東海道五拾三次之内
(保永堂版東海道)全55枚が展示された

私が観たのはPART3の期間で、広重が50代後半に手掛けた
五十三次名所圖會(竪絵東海道)全55枚の展示である
この作品は全てが縦の作品である
過去に何枚かは見たことがあるが、55枚全てを同時に見るのは
多分今回が初めてだと思う

横絵に比べるとやはり構図が明らかに違っている
縦絵になることによって、幅方向は限られてしまうかわりに
より高さや奥行が表現できるようになる
広重はこの特徴を存分に活かして制作していることが
作品を観るとよくわかった

私の感想では神奈川県の絵には富士山が多かった気がするが
これは縦構図で、風景に奥行と高さを生かすと、是非入れたくなる
山だということだろう
そして全体を通しては、海や川などの水のある風景が多いと思った
川を渡る大名行列の風景など、少し引き気味の絵の中を
細かく見ていくのが楽しかった

最も好きな作品は、今の静岡県沼津市原の絵だった
画面枠から突き抜ける富士山が印象的だった
きっとそれだけ近くに大きく見えたのだと思う
毎日通勤でここの近くを通るが、実際この辺りからは大きく見える

この美術館のとても良いところの一つであるが
今回の展示でも全ての作品に何かしらの解説が付けられている
その解説を読むと作品はもちろんだが、同時の江戸の風俗や
食生活、法律までもがわかったりするのだ
知識が広がると作品を観る目も変わってくるので、この解説が
とてもありがたいのだ

 

 

アス

アス

前作である「ゲット・アウト」がアカデミー賞脚本賞を受賞し
話題となったジョーダン・ピール監督のサスペンススリラー
ポスターの少し不気味な雰囲気から勝手にホラーだと思っていたが
どうもサスペンスに属すようである (どちらでもよいのだが…)
私は前作は観てないので、おそらく本作が
初ジョーダン・ピール監督だと思う

ではさっそく感想であるが、正直私には面白いとは思えなかった
観終わった後の感覚としては、ひとつの不思議な物語を見させてもらい
あまりピンとこなくて、ただフーンと思うしかないという気持ちに近い
私は見慣れてないジャンルの作品なので、鑑賞方法(楽しみ方)も
わからないが、こういった作品は殺し屋である自身のクローンから
逃げる主人公の身になって観た方が楽しめるのだろうか?
後々考えれば、そのほうが恐怖感が湧くと思ったが
だからといって作品が面白く感じられたか?とまではどうしても思えない

ストーリーは自身とそっくりのクローンがある日突然
地下社会から表社会に出てきて、表社会の人間を攻撃するといった
ちょっと妄想めいたシンプルな話である
中盤以降は、追ってくる自身のクローンとの闘いだけが焦点になっていく
途中演出で魔術めいた色々な暗示が出てくるのだが、ストーリーとして
深い意味がある味付けかどうかは、残念ながら私にはよくわからなかった

主人公の4人家族(夫婦と男の子と女の子)が、やたらと強くて
一般人は簡単に殺されていく中にあって
ハサミをもって追いかけてくるクローンたちとの戦いに多分
唯一、家族全員が勝利をおさめるのだった
この家族のクローンたちだけが極端に弱かったのか
彼らが主役だから死んでしまうわけにはいかないのかは
わからないのだが、かなり都合よく感じられたのだった