下町やぶさか診療所 池永陽
池永さんの本は初めて読むのだが、この本は本当に
読みやすく、そして楽しめた
舞台は浅草にある小さな診療所である
ここの主である名物医師である真野麟太郎と、この診療所を
訪れる患者とのやりとりが物語になっている
7章に分けられていてそれぞれが独立した話なのだが
1章で出てくる女子高校生は、この診療所に住んでしまうので
最後まで登場する、言わばこの物語の準主役である
診療所が舞台となっているが、医療技術で病気を
治すことが話の主ではない
どちらかというと、こころの病に真野麟太郎が向き合っていく
そして最終的に完治はしないのだが、真野の診察を何度か
受けることにより、患者は皆少しだけ楽になっていく
どのストーリーも晴れ晴れするようなラストには
なっていないのだが、実に人間味のある終わり方になっている
それなのに、しんみりはせず、むしろ暖かい気分になる
この小説、ストーリーも面白いのであるがレギュラーの登場人物が
個性的でとても魅力的である
奥さんに先立たれた太った初老のおせっかい医師の麟太郎
元ヤンキーで武闘派だが、容姿は可愛い女子高校生の麻世
麟太郎の息子で、大学病院に勤務する医者の潤一は
イケメンで優秀だが、ちょっとズレている
そして麟太郎が昼はランチに、夜は酒を飲みにと足しげく通う
喫茶スナック「田園」の年齢不詳の美人ママである夏希
皆キャラが立っていて、とてもいい味を出している
私はこの作品を読んでいる間中、頭の中にそれぞれのシーンの
映像がはっきりと浮かんできた
このイメージし易さは、あまり感じたことのないほどである
勝手な予想だが、後に映像化されるかもしれない
そして小説も続編が出来そうな終わり方だったので、是非続編を
期待している






